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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


「私と焦凍君が同じ中学っていうのは知ってると思うんだけど…」
「ええ。USJ事件の後に聞いたわ」
「それで中学の時から私、焦凍君のこと……好きだったんだ」
「てことは…雪水はずっと片思いしてたのか」
「…えと、実はその時に少しだけ…付き合ってた…」
「そうだったの!?…あれ?でも、少しだけ?」
「訳あってその後疎遠になっちゃって…それでも焦凍君の事ずっと気になってて……だからあの時は、一方的にだけど…色んな気持ちが溢れて涙が…」

体育祭の時のことを思い出しながら話していたせいか、知らぬ間に感情が昂ぶっていたみたいで目頭が熱くなって。
それ以上口にするとまた感情が溢れて泣いてしまいそうになった。
そんな私の様子に気付いたのか梅雨ちゃんが背中を撫でてくれている。

「紫沫ちゃんは、本当に轟ちゃんのことを想っているのね」
「気持ちが揺さぶられるんはどうにもならんよね…」
「話して下さって嬉しいですわ。でもご無理なさらないで下さいね」
「雪水の気持ち、充分わかったからさ。何かあったらまたいつでも話してよ」
「そうだよー!私たち友だちなんだからね!」
「轟とっちめたかったら、私に任せてー!」
「俺、何かしたか?」

女の子しかいない筈の場で突如聞こえてきた男子の声に皆の動きが一瞬固まった。
私は驚いて声のした方へと視線を向けると、その正体である焦凍君と目が合った。

「何か、あったのか?」
「あ、大丈夫。何でもないから…」
「…すまねぇが、紫沫のこと連れていくぞ」
「えっ」

動けずにいた女の子達を尻目に、腕を引かれて男子棟側の奥へと引っ張られ壁側まで来ると。
こちらに振り向いた焦凍君の手がそっと後頭部に回されて。

「…何でもねェ顔じゃねぇだろ」

添えられた手に引き寄せられるまま、顔が胸に押し当たって腰に回ってきた腕には力が込められていた。

「…ごめん」
「俺のいないところで、泣くな」
「まだ、泣いてないよ…」
「泣きそうだっただろ」
「それは…」

そうだけど。
すっかり涙は引っ込んでしまったよ。
何よりも安心できる温もりがすぐ傍にあるから。

「でも、もう本当に大丈夫。今は焦凍君がここにいてくれるから」

その気持ちがもっと伝わるようにと。
背中に回した腕に焦凍君と同じ位力を込めた。


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