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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


無理に詮索するのは良くないと思いつつも、気になって見上げたお茶子ちゃんの視線が窓の外を見つめている事に気付いた。
それはいつかの私に良く似て、きっとその視線の先にお茶子ちゃんの心をザワつかせている人がいるんじゃないかって。
ここからじゃ見えないけど、その誰かを教えてくれる日が来たら嬉しいななんて思っていた。

「じゃあさ!雪水の話聞かせてよ!!」

だから油断してた。
自分にこの話は回ってこないと。

「え!?」
「恋の話といえばウチのクラスで言ったら雪水だよね」
「いや、特にこれといって特別なことは…」
「そういえば、合宿の時のきすまーくとは一体なんのことでしたの?」
「キッ…!」

まさか八百万さんからそんな話題が持ち上がるとは思わなくて、これはチャンスとばかりに周りの皆も食いついていた。

「ヤオモモナイス!」
「ちょっと前にも風呂で見えちゃったんだけどさ、相当つけられてたよね」
「!!??」

それは少し前に焦凍君がシルシと言って至る所につけたモノで。
今はすっかり消えてしまったけど、バレない様にとタオルで隠してたつもりがしっかり見つかっていたらしい。

「ヤオモモの為に教えてあげる!キスマークは、マーキングってことだよ!」
「芦戸さん!言い方!!」
「余計に意味がわかりませんわ…」
「轟の独占欲が強いってことだよ」
「クールな轟くんの意外な一面だね!」
「紫沫ちゃんも大変ね…」
「梅雨ちゃぁあん」

堪らず唯一のオアシスでいてくれた梅雨ちゃんに抱きつきに行った。

「でもさ、仲よさそうでよかったよ」
「え?」
「そうですわね。体育祭での事がありましたし…本当によかったですわ」
「あ…」

そう言えば、あの時のことをまだちゃんと話していない。
ずっと先延ばしにしたままだった。

「…あの時は急に泣いたりして本当にごめんね。訳も知らないまま見守ってくれてありがとう」
「私たち友達ですもの。当然ですわ!」
「八百万さん…あの時の事、もし良かったら今聞いてもらえる?」
「!勿論ですわ」
「私たちは席を外した方がいいかしら?」
「ううん。皆にも少なからず心配かけたと思うし。お茶子ちゃんも。もし良かったら聞いてくれる?」

窓の外を見つめていたお茶子ちゃんは大分落ち着いたみたいで、"個性"を解除すると元いた場所に座った。

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