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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


昨日の夜の記憶が全くない。
目が覚めると自室のベッドの中にいた。

「確か、アイスを食べてたとこまで覚えてる…」

けど、そこからどうやって部屋に戻ったのか思い出せない。
疲れの抜け切らない中での圧縮訓練で眠気が尋常じゃなかったのは覚えている。
暫く考えても思い出せそうになく、朝食をしに一階へと降り洗面所で簡単に身支度を済ませ。
朝食が用意された机に焦凍君・上鳴君・瀬呂君の三人で座っている姿を見つけ、丁度空いてるからとお邪魔する事にした。

「体の調子はどうだ?」
「ん?今日は調子いいよ!」
「なァなァ、雪水。昨日送り狼に襲われたりしてねぇか?」
「送り狼?」
「なんの話だ?」
「瀬呂のヤツ、昨日の夜と同じことまーた言ってるよ。轟はあの後すぐ帰ってきてたじゃん!」
「あ、そういやそうだったな!ワリィ」
「「?」」

焦凍君と2人疑問符を浮かべている内に話は終わったようで、2人は別の話題で盛り上がり始めていた。
昨日の話だったみたいだけど。

「そういえば、昨日の夜どうやって自分の部屋に戻ったのかわからないんだよね…」
「覚えてねぇのか?俺が送った」
「焦凍君が?」
「ああ。ソファで寝ちまいそうだったからな」
「そっか…ありがとう。でも、さっきのはそういう意味だったのか…」

ここで瀬呂君からされた質問の意味が繋がった。
でも覚えていないし、ベッドでちゃんと寝てたからきっと何もなかったと思う。

「さっき?」
「あ、何でもないよ。気にしないで」
「わかった。でも…昨日のこと覚えてねぇなら一応言っとく」
「何?」

焦凍君の指が髪を少しだけ掻き分けて、耳の少し下辺りに伸びてきた。
いきなりなんだろうと思って次の言葉を待っていたら、耳元に少しだけ近付かれて周りに聞こえない位の小声でこっそりと。

「ココ。服で隠れねぇとこにつけたから気をつけろよ」
「…え?」
「シルシ」

それが何を意味するのか。
つい先日言われた言葉を思い出した。

「え!?」
「うお!いきなり大声出してどした?」

目の前で会話に夢中になっていた上鳴君と瀬呂君が私の声に驚いてこちらに視線を向けたので慌てて何でもないと誤魔化した。
今朝、洗面所に行った時は上手く髪の毛に隠れて見えていなかったみたいで。
昨夜、焦凍君はしっかりと送り狼になっていたようです。



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