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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


学級委員が数字の書かれた紙の入った箱を準備して、一人一人それを引いていく。

(そうだよね、1年間ずっと同じ席なわけないよね…)

去年もそうだったし、知らないわけじゃなかった。
寧ろそれは2学期始まってすぐのちょっとしたイベントとしてワクワクすることの筈で。
いつもなら楽しみなはずなのに、今回に限っては憂鬱で仕方がない。

(35番…轟君は何番だったんだろう…)

出席番号順に引いていった為、私は最後の一枚を手に取る。
残り物には福がありますように…
もう結果は出ているのに、悪足掻きもいいところだ。

「では、各自番号を確認して席を移動して下さい」

学級委員のその言葉でみんなが一斉に席を確認して移動を始める。

(私の新しい席は今いる列の1番前か…隣は…)

そう偶然なんて何度も起きるものじゃない。
だって、そうなればそれはもう必然になる。

(あんまり仲良くない子だ…)

青天の霹靂とはまさにこの事だと思った。
呆気なく私と彼の距離は離れてしまった。
チラリと彼の新しい席を探すと、私の対角線の先にその姿を見つける。
まさかの1番遠い場所だった。

(私の運はあの時使い果たしてしまってたんだ…)

すぐに前に向き直して、窓から外を眺めた。
まだまだ夏の暑さは健在で、太陽がギラギラと地面を照りつけている。
それとは対照的に、私の心の中は厚い雲がかかっていた。

(新しい隣の席の子と、仲良くなったり…するのかな…)

そんなマイナス思考ばかりが頭の中を支配していき、どんどん気分は急降下していく。
席が離れたくらいで私達の関係が変わるわけじゃないと思いつつも、なら今までどうやって話しかけていた?
席にいるだけで声をかけられるからこそお喋りができていたのではないか?

(わざわざ席まで行って話すことなんてない…)

私の2学期の始まりはそんな憂鬱な気分から始まったのだった。



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