第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》
紫沫SIDE
下にばかり意識が向いて、上が留守になっていると唇が重ねられ舌が捻じ込まれくちゅくちゅと音を立たせる舌使いに翻弄されて。
疼きを増していく中で燻っていたモノが前触れもなく動き始めれば、すっかり濡れそぼった秘部は直ぐに卑猥な音を響かせ。
粘液の絡まる2つの音に耳が侵されていく。
「ん…ンゥ…っ…んん」
まだ出だしに過ぎない動きにも関わらず、二度もイかされた身体はたちまち快感の波に呑まれて。
唇が放されると自制を失った声が漏れ出した。
「ャぁ…ィ、くっ!…ぁっ、ア…やッ」
「っ、イくの早すぎだ…悪ィが、止められねェ」
縋るように焦凍君の背中へと腕を回していた。
逞しく鍛えられた身体の熱が、触れ合う素肌から伝わってきて。
焦凍君の存在をこれ以上ないくらい近くに感じてる。
「ぁあ、待っ…ン、や…ぁっ、アッ」
「また、声聞こえちまうぞ」
「ァッ…んん、ゃ…ぁっ…ア、ん」
「抑えられないみてぇだな」
果てても止まらない快楽のせいで。
言われていることはわかるのに。
意識がすぐに本能へと引きずられていく。
そんな私を見かねたのか。
焦凍君の手が口元を塞いで強制的に声を抑えられていた。
「ふぅ、ン…っんン゛…ッ」
律動が激しさを増して奥を突かれる毎に押し寄せてくる絶頂感に抗う術はとうになくて。
理性は歯止めを失い、欲望に身を委ねてしまえば。
思考回路は正常に働かなくなっていく。
「紫沫っ…膣内(なか)に、出していいか?」
「んん…っふ、ンぅっ」
条件反射のように僅かに首を縦に振っていた。
吐息混じりの低音が耳元で囁く言葉は甘い誘惑に聞こえて。
塞がられた口では満足に答えられなくて。
蕩けた頭の中は靄がかかってるみたいに何も考えられなくなっていく。
目の前の存在に揺さぶられ、迫り来る限界に身体が支配されそうになったその時。
「愛してる」
たった五文字の言葉。
それを耳が捉えた瞬間。
足の爪先から頭のてっぺんまで、ぞわっとしたものが一気に駆け抜ける。
息が止まるかと思う程に胸が締め付けられて。
同時にこれまで感じてきたものとは比べ物にならない絶頂感が全身を襲って。
「ッ…!」
「ンん゛っ…!」
中でドクドクと脈打つソレの感覚を微かに覚えたのを最後に。
私の意識はそこで途切れていた。
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