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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


食事を済ませて食器も片付け終わり。
結局言い訳は思いつかないまま、私は寮の外へと向かった。
既に爆豪君の姿があって心なしかいつにも増して目尻が上がっている気がするのは私が怒られると思っているからだろうか。

「来たな、雪女」
「えーと、あの…ごめんなさい!!」
「あ?」

声をかけられるなり、先手必勝と勢いよく頭を下げた。

「連絡、してなくて…すっかり頭から抜けてマシタ…」

よく考えたら通話の最中に焦凍君に邪魔されたのもあって用件をマトモに聞けていなかったのだ。
だから、忘れていたわけじゃなくて頭の中から抜けていただけで。

「わかってんならさっさと話しやがれや、クソが」
「え?」

てっきり怒鳴られるとばかり思っていたのが、爆豪君にしては穏やかな声音に驚いた。
取り敢えずベンチに座って話すことになって。
あまり男子と2人きりになることがないからなのか。
焦凍君以外でこんな風に並んで座ることなんてなくて、その距離の近さに妙な緊張感に襲われる。

「で、半年前の事件っつーのは何なンだよ」
「…上手く説明できないかもだけど」
「んなモン期待してねェわ。さっさと話せ」
「わかった…中学の卒業式の日のことなんだけどーー…」

事件のことを誰かに話すのはこれで2人目だ。
今ではトラウマみたいに思い出す事はあまりなくなっていたけど、それでも鮮明に思い出せてしまうのはやっぱり鮮烈な記憶として残っているから。
事件の話をするということは自ずと"個性"の話もすることになって。
話していく内に事件の内容だけでなく、それに関する事までも喋り出していた。

「でね、その時の犯人ってのが多分私を攫った敵だと思う」
「あ?あのマスクしてたヤツのことか?」
「そう。業って名乗ってた」
「ナメてんな」
「一応警察には事情聴取の時に話したけど、顔は殆ど隠れてわからなままだし"個性"も使ってなかったから手掛かりになるものはあまりないんだよね」
「半分野郎はそのこと知ってンのかよ」
「半分…もしかして焦凍君のこと?知ってるよ。体育祭の後に事件のこと話したから、気にしてくれてたみたい」
「…あン時の理由は何だ、雪女」
「え?」
「体育祭。泣いてただろが」
「…見てた、んだ」

あの時は周りを気にしてる余裕なんてなかったから。
見られているなんて気付かなかった。


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