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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


「まーつまんねー部屋だよ」
「轟の後は誰でも同じだぜ」

開かれた扉の先に見えた第一印象は、良い意味で特に変わった所のないシンプルな部屋という感じなんだけど。
入ってすぐに漂う香りと男子高校生の部屋にはあまり似つかわしくない器具が目を引いた。

「あれって、ミキサー…?」
「ていうか、良い香りするの、コレ何?」
「ああイケね!!忘れてた!!だいぶ早く片付いたんでよ。シフォンケーキ焼いてたんだ!!皆、食うかなと思ってよォ…ホイップがあるともっと美味いんだが…食う?」
「模範的意外な一面かよ!!」

いい香りの出所はオーブンレンジからで、その正体はふわふわのシフォンケーキ。
砂藤君の甘い誘惑に私も含め女の子達は即座に飛びついていた。
人数分用意してくれて、早速一口目を口にすると。

「あんまぁい!フワッフワ!」
「瀬呂のギャップを軽く凌駕した」
「素敵なご趣味をお持ちですのね、砂藤さん!今度私のお紅茶と合わせてみません!?」

女の子の心を難なく掴んでしまう程とても美味しいシフォンケーキに、すっかり虜になり。
二口三口と食べ進む手が止まらなくて、次々と絶賛する声が上がった。

「オォ、こんな反応されるとは…まァ"個性"の訓練がてら作ったりすんだよ」
「ちっきしょー。さすがシュガーマンを名乗るだけうまっ!」
「ここぞとばかりに出してくるな…うまっ…」

女の子だけでなく男子からも高評価のようで、皆一様にシフォンケーキを頬張っている。

「こんな美味しいの手作り出来るって凄い…うま!」
「抹茶のやつの方が俺は好きだ」
「ぁ…今度作るね?」
「楽しみにしてる」

表情一つ変えず、事もなげに投げかけられた言葉に私は嬉しくなって。
シフォンケーキに負けない位の甘くてふわふわな気分で心が一杯になっていた。

「おい!そこ!ナチュラルにイチャつくなよ!うまっ!!」
「"彼女の手作り"とか俺も食ってみてェ…うま…っ!」
「男子は以上…うまっ」
「次は私たちうまっ…だね!」
「さっぱりした甘さだからいくらでもいける」
「うむ!」
「女子棟つながってんのは1Fだけだから」
「うまっ…一旦降りて…」
「やだな——…うまっ」

一部嘆きの声を上げながらも。
砂藤君の手作りシフォンケーキをたっぷり堪能してから、お次は女子棟へ移動となった。


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