第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》
紫沫SIDE
「1棟1クラス。右が女子棟、左が男子棟と分かれてる。ただし一階は共用スペースだ。食堂や風呂・洗濯などはここで」
いつもの調子を取り戻したところで、早速寮の屋内へと足を踏み入れた。
新築なだけあって凄く綺麗だし、21人で過ごす為の共有スペースだからかとても広々としている。
「広キレー!!そふぁああ!!!」
「中庭もあんじゃん!」
「豪邸やないかい」
「聞き間違いかな…?風呂・洗濯が共同スペース?夢か?」
「男女別だ。おまえいい加減にしとけよ?」
「はい」
共有スペースの次は部屋に案内された。
「部屋は二階から。1フロアに男女各4部屋の5階建て。一人一部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」
「ベランダもある。すごい」
「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね…」
「え?クローゼット?部屋じゃなくて?」
訪れた部屋は寮というには設備が整い過ぎていて、一人には十分な広さで。
というか、睡さんの家にいた時よりも広いくらいだ。
「豪邸やないかい」
「部屋割りはこちらで決めた通りだ。各自、事前に送ってもらった荷物が部屋に入ってるからとりあえず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する。以上。解散!」
「「「ハイ、先生!!!」」」
私は5階で、梅雨ちゃんの隣の部屋だった。
それぞれが言われた通りに決められた部屋へと向かい、荷解きを始める。
ある程度片付き終えた頃にお茶子ちゃんが部屋の外にやってきた。
「紫沫ちゃん!部屋かたついてきた?」
「まぁまぁかな。あともう少しかかると思う。お茶子ちゃんは?」
「うちは殆ど終わったよ!それでね、夕飯なんやけど、切島くんが焼き肉するって言ってたん覚えてる?」
「うん、覚えてる!」
「今からその買い出しに行くんやけど、紫沫ちゃんも一緒に行かへん?」
丁度休憩を挟みたいと思っていたのもあって、お誘いを受けると。
他にも数人に声を掛けていたみたいで、連れだって買い出しへと向かった。
今日は急遽だったのもあって外出の許可は簡単に降りたみたいで。
これから欲しいものがある時は事前に申請をしていれば寮まで配達してもらえるらしく、なるべくそれを利用するようにとのこと。
何だか至れり尽くせりのような生活に寮だということを忘れてしまいそう。
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