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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


「その様子だと行く素振りは皆も把握していたワケだ。色々棚上げした上で言わせて貰うよ。オールマイトの引退がなけりゃ俺は、爆豪・雪水・耳郎・葉隠以外全員除籍処分にしてる」
「!?」

追い討ちをかけるように放たれた言葉に身の引き締まる思いと。
救けられた身として感謝の気持ちが大きくて、その行いは褒められるべきものではない事を失念していた。
もしそうなっていたら…そう考えると申し訳なさで一杯になる。
私が攫われたりなんかしなければ。
そう思わずにはいられなかった。

「彼の引退によってしばらくは混乱が続く…敵連合の出方が読めない以上、今、雄英から人を追い出すわけにはいかないんだ。行った5人はもちろん。理由はどうあれ、俺たちの信頼を裏切った事には変わりない。正規の手続きを踏み、正規に活躍をして、信頼を取り戻してくれるとありがたい。以上!さっ!中に入るぞ。元気に行こう」

淡々と要件を言い終えると、すぐに寮へ向けて歩き出した先生に対して私達は元気に行くなんて到底出来るわけもなく。
寧ろ暗い雰囲気が漂い、足が地面に縫い付けられたかのようにすぐに動き出す事ができないでいた。
勿論私もその内の一人で、皆と原因は違えど少なからずダメージを受けたことに変わりはない。

「来い」
「え?何。やだ」

唐突に爆豪君が上鳴君を引っ張って草むらの影へと連れ去ると、放電をしているような様子が見えて。
そこからキャパオーバーによる脳がショートした状態の所謂「アホになってしまった」上鳴君が現れた。

「うェ〜〜い…」
「!!」
「バフォッ」
「何?爆豪何を…」
「切島」
「んあ?」

名前を呼ばれた切島君の前に、爆豪君が無言で差し出した手に見えたのは数枚のお札。

「え、怖っ。何、カツアゲ!?」
「違え。俺が下ろした金だ!いつまでもシミったれられっとこっちも気分悪ィんだ」
「あ…え!?おめーどこで聞い…」
「うェい…?うェイうェうェうェイ!?」
「いつもみてーに馬鹿晒せや」

その一言で疑問符の上がる一連の行動の意図が何だったのかを漸く理解した。
爆豪君の優しさは少しわかりにくいんだよ。


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