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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


「あんまり、変なこと言わないで…」
「俺変なこと言ったか?」

もしや、無自覚?
いや、これ以上この話を広げるのはやめよう。
私の心臓がこれ以上は耐えられない。

「あっ、そう言えば、気になってたんだけど、轟君って授業の時氷の方しか使ってないよね?」
「…」

話題を変えたくて口にした何気ない質問に返答をすぐに得られず、今度は私が変な事を言ってしまったかもしれないと察した。

「ごめん!少し気になってただけで、言いたくないことなら言わなくていいよ!」
「…いや、そうじゃねぇけど…あんまり面白い話じゃねぇぞ」
「もし轟君が嫌じゃなかったら、聞きたい…」

何か理由があるのかもと。
それがどんなことなのか深くは考えずに、私はもっと彼のことが知りたくて、聞きたいと思った。
けど、少し表情を強張らせた彼を見て軽々しく聞いていい話じゃないのかもなんて考え改めた時には彼は話し始めていた。

「…個性婚って知ってるか?」
「うん…お母さん達より前の世代で問題になってたって…」
「俺の家がそれだ」

言葉が出なかった。
最近ではあまり使われなくなった単語にまさか彼の家がそうだとは思わなかったのだ。

「俺の親が誰かは知ってるよな。アイツはずっとNO.1になりたかった。けど、それが叶わないとわかった時、次の方法を考えついた」

私は無言のまま聞き続けた。

「実績と金だけはある男だ。母の親族を丸め込んで"個性"を手に入れた。そして、どうしても叶わなかったオールマイト以上の存在を育て上げることで己の欲求を満たそうとした。それが俺だ」
「うん…」
「母は俺のこの左側が醜いと…煮え湯を浴びせた」
「だから、火傷の痕…」
「ああ。アイツはそんな母を病院に入れ、俺はそれが許せなかった。だから、アイツの"個性"を使わず1番になってヤツを完全否定すると決めた」
「そう、だったんだ…」
「だから、この左手はその為には使わねぇ…」

素直に教えてくれたことは嬉しい。
けれど、それ以上に彼の背負うものの大きさを考えて胸が苦しくなった。

「それでも…私は轟君の"個性"が好き。それに救けてもらった」
「…」
「それだけは忘れないで…」

もしかしたら私の言葉は彼を苦しめているだけなのかもしれない。
でも、知っていて欲しかった。

(轟君の"個性"は凄く綺麗なんだよ…)



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