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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


あれからもう少しだけお父さんとお母さんに近況報告をしてから、それぞれの目的地へと向かう道すがらのこと。

「今日は一緒に来てくれて本当にありがとう」
「俺も伝えたい事があったしな。来れて良かった」

両親に伝えた言葉がまるでプロポーズみたいだったなと今更ながらに思って、さっきとはまた違う嬉しさが込み上げた。
多分本人はそんなつもりではなかったんだろうからと。
心の中でそっと思い出としてその言葉を刻み込んだ。

「そういえば、何日も家に帰らなくて本当に大丈夫だった?」
「ああ。姉さんにはちゃんと言ってある」
「焦凍君のお姉さん…結局一度も会えたことなかったなぁ」
「会いてぇか?」
「んー…そうだね。会ってみたい、かも」
「確か今日は仕事休みだったと思うぞ」
「でも、入寮の準備とかあるよね?」
「俺はな。紫沫はもう終わってるだろ」
「いや、だからこそ……あ、そっか。入寮の準備私も手伝う!」

私がそうだったように二人で作業すれば早いのではと。
急遽、焦凍君の手伝いとお姉さんに会うという名目の下お家にお邪魔することに。
近付いてくるにつれ緊張が訪れたけど、冷さんに会った時に比べれば幾分かはマシだ。
目の前にするとどうしても身構えてしまうエンデヴァーは仕事が忙しいらしくここ数日家を空けているのだとか。

「姉さん、ただいま」
「おかえり…その子って、もしかして…」
「お、お邪魔します」
「紫沫ちゃんだよね!?」
「え?あ、はいっ」

自己紹介をする前に名前を言い当てられて驚いた。
何でも冷さんのお見舞いに行った時に私の話を聞いていたようで。
知らない間に轟家に認知されていたことが嬉しいような恥ずかしいような、何とも言えない気持ちがした。

「焦凍が誰か連れてくるなんて初めてだからびっくりしちゃった。しかも女の子!あ、でも、前にも来てくれたことあるんだっけ?」
「は、はい。何度かお邪魔していたんですけど、挨拶が遅くなってしまってすみません…」
「気にしないで?焦凍が狙ったように私のいない日ばっかり連れてくるんだから」
「…たまたまだ」

あの頃もし顔を合わせていたら今こうして改めて会うのが気まずくなっていたかもしれないから。
タイミングとしては今で良かったと少し思った。

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