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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


一口目を食べ終えるとおもむろに焦凍君が口を開いて。

「明日のことなんだが、もっぺん家に帰ることになっちまった」

昨日言っていたことが関係しているのかと、あまり良くない予感がした。

「家で何かあった?」
「こっちにはお知らせ来てねぇのか?明日家庭訪問があるんだ」
「え?」
「その様子じゃ知らないみてぇだな。雄英が全寮制になるらしい」
「えぇ!?」

それは予想もしない返事で。
今朝の時点で睡さんはそんな事一言も言っていなかったから、もしかしてあの後の会議で発表があったのかなと。
雄英の先生である睡さんが保護者だから家庭訪問が省略されるのかもしれないけど、何のお知らせもないのはおかしいと思いかけた時。
携帯が震え出して、画面に映し出された「睡さん」の文字にもしやと思い一言断ってから出ると、案の定全寮制の話だった。

「連絡、来たみてえだな」
「今までその事で手が離せなくて伝えるのが遅くなったみたい。それでね…睡さんが、もしかしたら入寮しない子がでてくるかもって…」

神野事件で雄英に対して疑心暗鬼になっている人は少なからずいて、それは直接的な被害にあった生徒を持つ親なら尚更強い筈だと。
今回は全寮制導入検討という形でのお知らせをして、先生達が家庭訪問をして直に伺いを立てるらしい。

「少なくとも俺は大丈夫だ」
「エンデヴァーはそういうのあまり気にしない?」
「親父は今それどころじゃねぇから、姉さんが対応するっつってた」
「それって、オールマイトのこと…?」
「ああ」
「そっか…」
「それに、あいつが何と言おうが俺は今雄英を離れる気はねぇ」

そう言葉にした焦凍君の目は未来を見据えているようで、そこに強い想いが宿っているのを感じた。
そしてその瞳が私を捕らえると。

「紫沫がいる場所なら尚更。離れるワケにはいかねぇだろ」

さっきとは違う想いが宿っている気がするのは、私の自惚れなのかな。
幾度となくその瞳に私は惹かれてきたけど。
片時も逸らされる事のない色違いの虹彩はいつにも増して澄明で鮮やかで。
瞬く間に私の心を攫っていく。

「私も、焦凍君と離れたくない」

テーブルを挟んでなければこの口はきっと…
自惚れなんかじゃなく、見つめ合う視線がそれを告げている。
でも今は冷める前にと、オムライスに口を塞がれたのだった。


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