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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


ーー…翌日。
焦凍君はお昼前に家へと帰って行った。
軽く家事をこなして、学生の本分である夏休みの宿題へと手をつけ問題集を解いていた時のこと。
ふと、胸のあたりに違和感を感じた。

(張ってる…?)

それは所謂女の子の日の前兆のような…
とそこで、合宿に合わせて生理日をずらす為に飲んでいたピルをここ数日飲んでいない事を思い出した。
同時に浮かんだのは確かピルには避妊効果もあるということ。
その意図で飲んでいたわけではなかったけど。
先日の行為のこともあるし今後も服用しようかなんて考えていたら、自ずと思考があらぬ方向に向いてしまい慌てて意識を問題集へと戻した。
一度意識してしまったからなのか、下腹部が重たくなる感覚に集中はすぐに途切れて。
もしやと思いトイレに向かえば案の定だった。
念の為薬を飲んでから再び宿題を再開したけど、途中で眠気に襲われてゆっくりと意識が遠のいて…
ーー…オートロックのチャイムが遠くで鳴っているような。
徐々にはっきりとしてくる音にハッとした。
知らぬ間に寝落ちてしまっていたらしく、窓から差し込む陽は茜色に変わろうとしている。
再び聞こえてきた音に慌ててモニターフォンに向かうと、そこに映し出されていたのは焦凍君の姿。

「はい!」
『俺だ。開けてくれ』
「ごめん!すぐ開けるね!」

いつから鳴っていたのかわからなくて、結構な間待たせてしまったかもしれない。
程なくして玄関から聞こえたチャイムに急いで鍵を開け玄関ドアを開いた。

「ごめん!私寝ちゃってて。もしかして何度もチャイム鳴らした?」
「寝てたのか?なかなか出ねぇからおかしいとは思ったが。鳴らしたのは二回だけだ」
「そっか…ぁ、おかえり」
「ただいま」

いらっしゃいではなく、おかえりと迎えた事に少しだけ気恥ずかしさを覚えた。
昨日は電話しながらだったし、焦凍君から言われたから気にならなかったけど。
自分からかけると変に意識してしまう。
だって、なんだかまるで…

「そうやって迎えられると、一緒に暮らしてるみてぇだな」
「私も、同じこと考えてた」

側から見たらオママゴトみたいなモノかもしれないけど、私にとっては心がくすぐったくなるような事で。
今の状況に幸福感を感じずにはいられなくて。
後頭部へと伸ばされた手に引き寄せられるまま、そっと瞳を閉じた。


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