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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


「話、終わったのか?」

優しく頭を撫でられて、いつもなら嬉しい筈のそれが今はそう思えなくて。
少しだけ睨みつけるように焦凍君を見上げた。

「な、んで…あんなこと…っ」
「なんとなく、邪魔したくなっちまった」

明確な意図があったならそれに対して怒れるのに、あまりに曖昧な理由に怒りの矛先を見失ってしまう。
それとさっきまでの行為も相まって一気に体の力が抜けて焦凍君の肩にもたれ掛かった。

「お?」
「もうしないでね」
「…」
「爆豪君と話してるのに変な声出ちゃうところだったんだよ?」
「…それはそれで、聞かせたくねぇ」

焦凍君がワガママを言っている気がする。

「爆豪とは何話してたんだ?」

一瞬だけ考えた。
気を逸らされる様なことをされたから、マトモに話を聞けていなかったのかもしれない。

「…あ、半年前の事件のことかな?」
「紫沫が話したのか?」
「ううん。敵連合に捕まってる時に会見みたいな映像が流れてて、そこで事件の話題が出たから」

テレビで流れたということは、きっと爆豪君だけじゃなくてクラスの皆にも知られているかも。
爆豪君はたまたま一緒にいるとこで知ったから、詳しいことを直接聞きたいと思ったのかもしれない。

「そうか…その事件の犯人……紫沫を攫った奴じゃねぇよな?」
「…その人、だと思う」

本人に確認したわけじゃないけど、あの時感じたことが間違ってるとは思えない。

「声と雰囲気が同じだったから…名前は「業」って言ってた」
「…」

何故かいきなり抱き締められていた。
それも結構きつく。

「焦凍、君…?」
「悪ィ…あん時俺が動けてりゃあ…」
「焦凍君が救けてくれたんだよ?」
「違ぇ…合宿ん時。目の前で、連れてかれちまった…」
「そ、うだったんだ…」

だからあんな無茶してまで救けにきてくれたのか。
プロヒーローがあれだけ動いていた事件現場に生徒達だけでなんて危険すぎると思わなかったわけじゃない。
それでも来てしまったのは何でなのか。
なんとなく抱いていた疑問の答えが今わかった。

「こうやって今、私がここにいるのは焦凍君が救けてくれたからだよ。だから、悪いことなんて何もないから…」

もう気にしないでって意味を込めて私もきつく焦凍君を抱き締めた。


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