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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


神野事件の翌日。
無事に家へと帰って来ることができ、使い慣れたベッドの上で目を覚ました私は自分以外の温もりがあることに。
昨晩、焦凍君がうちに泊まって一緒に寝たのだということを思い出した。
確か寝る時には向かい合っていたのだけど、今は背中に温もりを感じて腕枕までしてもらっている。
目覚めてすぐに焦凍君の存在を感じられることが堪らなく幸せで、昨日までの出来事がまるで嘘のようにすら思えてしまう。
背中から規則正しい寝息が聞こえてきて、きっとまだ夢の中にいるのだろうと思って起こさないように布団から出ようとした時。
お腹の上に回されていた腕に引き寄せられて動けなくなってしまった。
もしや起きているのではと背中に意識を集中させるけど、聞こえてくるのは変わらず寝息で意識がある様子ではない。
それなのに簡単には振り解けそうにない腕の力に布団から出るのを諦めたところで、視線の先に焦凍君の手が見えた。
自らの手をそちらへと伸ばしそっと触れてみる。
男の人特有の少し骨ばった感触と細く長い指先。
私のよりも一回り大きくて、暖かくて、大好きな手。
今まで何度もこの手に救けてもらった。
あまり触れることがなかったせいか、すっかり夢中になってその感触を確かめていたから気付かなかった。

「紫沫?…何してんだ?」

寝起きの少し掠れた低音が耳元で小さく響いてきた。

「あ、ごめん。起こしちゃった?」

咄嗟に引こうとした手は焦凍君に指を絡め取られ捕まってしまう。

「いや、構わねぇけど…俺も触っていいか?」

絡ませられた指を撫でてくる動きが何だか私のとは違う気がして。

「紫沫…」

そう私の名を呼ぶ低音の声に艶かしさを感じて、後ろから首元に唇が触れられたことで堪らず体が反応してしまった。

「ひぁっ…ちょ、焦凍君っ」
「ダメか?」

そう口にしながらも動きは止まってくれそうになくて、寧ろ空いている方の手が胸元へと伸びてきて明からさまなものへと変わっていく。

「紫沫が欲しい…」

男の人だと言うのに声や動作の一つ一つに色気を漂わせていて。
朝から強すぎる刺激に抗うこともままならず、流されてしまいそうになったその時。

「ただいまー!!」

いない筈の聞き慣れた声に甘い雰囲気はあっさりと壊されてしまうのだった。


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