第9章 原作編《神野事件》
紫沫SIDE
果てたのと同時に、以前に一度感じたものより鮮明に。
中で何かがドクドクと脈打っているのを感じた。
「っん…はぁ、はぁ…」
今にも崩れ落ちてしまいそうだったけれど、繋がったまま後ろからきつく抱き締められているお陰で何とか留まっていた。
「紫沫、好きだ…」
耳元で小さく焦凍君の声が聞こえて。
「焦凍君…私も好きだよ」
行為の後はいつも幸せな気持ちでいっぱいになるのに。
耳元で聞こえた声音はとても小さくて、何だか少し心配になった。
「ねぇ、焦凍君の顔が見たいよ」
後ろから抱き締められているから表情がわからない。
きっと顔を見れば焦凍君の気持ちが少しでもわかるんじゃないかと思った。
「…」
「お願い。顔、見せて?」
ゆっくりと中からソレが抜かれる感覚に少しだけ身体が反応してしまう。
けどそれよりも今は焦凍君の顔を見たい気持ちが勝って、抱き締められたまま体の向きを変えようとしたところで何かが太ももを伝う感覚がした。
「ぁ…これ…っ」
それはさっき中に吐き出された焦凍君のモノで。
漏れ出てしまうのを止められなくて、あっという間に足元まで垂れてしまっている。
その事に焦凍君も気付いてくれたのか抱き締めていた腕が離れると、横抱きに抱えられていた。
「…風呂連れてくから教えてくれ」
「やっと、顔見れた」
その表情はいつもと変わらない風に見えたけど、やっぱりどことなく元気がないような気もする。
「どうしたの?」
「…どうすれば紫沫の全部が手に入るんだ?」
「え?」
「俺以外の奴が紫沫に触れたかと思うと我慢ならねェ…こんな気持ち初めてだ。抑えきれねぇで、膣内(なか)に出しちまった……わりィ…」
少しびっくりしたけど、嫌だったわけじゃない。
寧ろ何かが満たされた様な感覚すらしていた。
「あのね、私はずっと焦凍君しか見てないよ。変な言い方になるかもだけど、焦凍君になら何されたって構わないって思ってる。だから…悪いなんて言わないで。私の全部、焦凍君のものなんだよ」
焦凍君を想う気持ちを上手く伝えられたかはわからないけど。
思いつく限りの言葉を並べた。
「私だって焦凍君の全部が欲しい」
「俺の全部も紫沫のものだぞ」
気持ちを伝え合うと次は身体が互いを求めて、自然と唇を重ねていた。
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