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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


「……今の夢…?」

今回ははっきりと夢の内容を覚えている。
顔は夢の中でも薄ぼんやりとしかわからなかったけれど、確かに私は男の子と一緒にいた。
そして、その男の子の"個性"を見せてもらっていた。
あんな綺麗な"個性"持ってる人なんて、私は1人しか知らない。

「違う…夢、なんかじゃない…」

何で、忘れていたんだろう。
何回も思い出せそうなキッカケはあったのに。

「…焦凍君……」

知ってる。
初めて会った時は確か泣いていた。
何とかしてあげたくて、そしたら私の"個性"が発現したんだっけ…
その時から、お母さんの実家に行った時は彼に会う為にあの公園に一目散に出かけて行った。

「こんなに大事な記憶忘れてたなんて…」

一つ思い出してしまえば、絡まってた糸が解けていく様に彼との記憶が思い出されていく。
そう言えば、中一の時に彼の"個性"を見てあんなに惹かれたのは、記憶はなくても初めて見た時の気持ちか残っていたからなのかな。

「あんな前に、私達出逢ってたんだ…」

何故か無性に彼に会いたくて堪らない。
窓の外を見るとまだ薄暗くて、時計を見れば日が昇るには早い時間だった。

「朝早くから走ってるって言ってたよね…」

その事を思い出して、私はゆっくりベッドからでた。
まだ両親は寝ているだろうから、なるべく音を立てないように着替えて、そっと家を出る。
向かった先は、彼と出逢ったあの公園。
自分でも変だと思うけど、あそこに行けば彼に会える気がした。
やっぱりまだ外は薄暗くて人通りもない中、1秒でも早く辿り着きたくて、気が付けば私は走っていた。
前に一度彼の家に行ってるから、道は分かっている。
走っている分前よりも早く辿り着いたそこは、やはり見覚えのある公園だった。
入り口で少し呼吸を落ち着かせ、ゆっくりとそこへ足を踏み入れる。
本来ならば、こんな時間に公園に来る人なんていないはずで、
そこに人影なんてあるわけがないのに、私は見つけてしまった。
ベンチに座って、数日前の時のように俯いている人影を。
辺りはまだ暗くてそれが誰なのかなんてわかるわけないのに、私の中には確信があった。

(いた…轟君だ……)

ここに来て鼓動が早くなるのを感じた。
これはきっと走ってきたからじゃない。

私はゆっくりとその人影へと近付いていった。



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