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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


本当は焦凍君から離れたくなかった。
傍にいて欲しかった。
でもそんなわがまま言えなくて。
緑谷君達と合流してからすぐに警察の元へ向かうと、事情聴取をしてから家まで送り届けてくれるとのことだ。
爆豪君とは別々になり、警察署で1人にされると何だか居た堪れなくて、調査の為に押収していたと返されたスマホを手に取る。
私の指は自然とある人の連絡先をタップし通話をかけていた。

『…紫沫』
「っ焦凍君」

自分でかけておきながらスマホから聞こえてきた声に胸が締め付けられたような気持ちになる。
数時間前まで一緒にいた筈なのにその声を聞いたのはもうずっと前のようで…

『家に着いたのか?』
「ううん。まだ警察、なんだけど…」

そう感じてしまう程に求めていた事に気付いて、気持ちを抑えられなくなっていた。

「会いたい…焦凍君に、会いたい」
『俺もだ。紫沫の傍に居てぇ…いつ帰れるかわかるか?』
「わからない…事情聴取して少し待っててって言われて…」
『そうか。なら終わったらまた連絡してくれ』
「わかった…」

そこで無言になってしまう。
何も言葉が出てこなくて、それならあとは通話を切るだけなのにそれが出来ずにいると焦凍君が私を呼ぶ声が聞こえてきた。

『紫沫…好きだぞ』
「私も…好きだよ、焦凍君」
『ああ、また後でな』
「うん。またね」

その言葉一つで私の心はとても穏やかになった気がする。
もしかしたら確かな何かが欲しかったのかもしれない。
焦凍君のことを感じられる何かが。
今の私達には気持ちを伝え合うことがそれだった。
それから警察の人が戻ってきて、再び事情聴取をされて何か書類に書き込んだりとしている間に数時間が経っていて、漸く家に送り届けてもらえるようだ。
パトカーに乗り込んだところで焦凍君に連絡をした。
家の前で降ろされてマンションのエントランスへと足を向けたところで、誰かが立っているのが見える。
まさかと思って駆け寄るとそこにいたのはさっき連絡した相手で。
あれからそんなに時間は経ってないのに、なんで今ここにいるのか。
頭ではそんな疑問を浮かべていたけど、身体は駆けた勢いのまま焦凍君の胸の中へと飛び込んでいた。


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