• テキストサイズ

【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


轟SIDE


緑谷達と合流し紫沫と爆豪を警察に送り届け再び駅へと向かい、
半日以上をかけて家路を辿った。

「では」
「ありがとうな、みんな」
「お三方!真っすぐ帰って下さいね!?」
「うん。本当にありがとう」
「じゃあ…また学校で」

道中スマホでオールマイトがもう戦えない体であるという記事を目にする。
平和の象徴でありNo.1ヒーローの事実上の引退ということだろうか。
親父が追い求め続け、どうしても超える事が出来なかった存在がこんな形でいなくなってしまうなんて。
物心つく前から意識をさせられていたNo.1ヒーローのニュースは周りとは少し違う意味で見過ごすことは出来なかった。

「もォ〜何か凄い事起きてるわ。焦凍、お見舞いから連絡返してくんないわで心配したよ!おかえり!」
「わりィ、姉さん…」

家に着くと冬美姉さんが姿を見せ、
奥の方から家が揺れているのかと思うほどの大きな物音がしている。

「ちょっと前に帰ってきてね…ずっとああなの…」

俺の足は物音の根源であろう訓練場へと向かっていた。

(オールマイトが本当に前線に立てなくなったのなら…No.1の地位は——…)

少しだけ開いていた戸の隙間から中を覗き込めば壁や床には穴が開きトレーニング器具も倒れ壊されて。

「フウ…フウ…こんな形で…認めんぞ。認めてたまるか。認めるわけにはいかんのだ…っ!!」

案の定荒れていた様子の親父の後ろ姿を一目だけ見て、すぐにその場を後にする。
親父の気持ちなんぞは知ったこっちゃないが、今後プロヒーローとしてどうしていくのかを少しだけ気にかけている自分がいた。
部屋に戻り横になってみるも眠気は来ない。
No.1ヒーローのことや紫沫のことが気になっているのは勿論だが、数時間前までの出来事のせいで変に脳が冴えてしまって身体が落ち着かない。
今頃紫沫は家に帰っているのだろうか。
本当ならば傍にいて聞きたいことは山程ある。
敵に何かされてはいないか、何故攫われた時と違う服を着ていたのか。
けれどあの場でそれを確かめること叶わぬまま警察へと送り届けてしまった。
考えたところでどうしようもないと無理矢理目を閉じたその時。
スマホの着信音が聞こえ画面に映し出された文字を見て反射的に通話ボタンを押していた。

「…紫沫」

.
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp