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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


轟SIDE


塀の向こう側に紫沫と爆豪が現れたことで飛び出しそうになる身体を飯田の手が伸びてきて引き止められてしまう。
2人は敵に囲まれて逃げられる状況じゃない。
手を伸ばせば届く距離にいるんだ。
それなのに…

(俺達は戦う事が許されない)


どうにか戦わずして救け出す方法はないものかと思考を巡らせていると同じく引き止められている緑谷が口を開いた。

「——…!飯田くん、皆!」
「だめだぞ…緑谷くん…!!」
「違うんだよ。あるんだよ!決して戦闘行為にはならない!僕らもこの場から去れる!それでもかっちゃんと雪水さんを救け出せる!方法が!!」

その言葉を聞いた飯田が手を離した。
今の俺達でも救け出せる方法とは一体何なのか。

「言ってみてくれ」
「でもこれは…かっちゃん次第でもあって——…この策だと多分…僕じゃ…成功しない。だから切島くん、君が成功率を上げる鍵だ。かっちゃんは相手を警戒して距離を取って戦ってる。雪水さんはかっちゃんの近くで戦ってる。タイミングはかっちゃんと敵が二歩以上離れた瞬間」

緑谷が詳しく作戦を話し、後は飯田と八百万が頷けば直ぐにでも決行だ。

「飯田さん…」
「…バクチではあるが…状況を考えれば俺たちへのリスクは少ない…何より成功すればすべてが好転する…やろう」

その作戦とは…
緑谷のフルカウルと飯田のレシプロでまず推進力。
そして切島の硬化で壁をブチ抜き、開けた瞬間に俺の氷結で道を形成する。なるべく高く跳べるように。
敵は気づいていない。
手の届かない高さから戦場を横断して敵を出し抜く。
敵のボスはオールマイトをくい止めてるが、これはまた逆も然り。
そして…緑谷曰く入学してから今まで対等に爆豪と関係を築いてきた切島の呼びかけならと。

「来い!!」
「…バカかよ」

爆豪の状況判断能力の高さはわかっている。
間違いなく紫沫を連れて行く筈だ。

「雪女!!」

爆豪の手が紫沫の腕を掴み跳び出したかに見えたその時。

「行かせない」

作戦は成功したと思った。
これで救け出せると。
敵の殆どは不意打ちをくらい動けずにいたのに。
そいつだけは違った。
あの夜、俺の目の前を通り攫って行ったそいつだけは。

「こんな形では行かせないよ」

その声は再び俺から紫沫を奪う言葉を発したのだった。



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