第9章 原作編《神野事件》
紫沫SIDE
「5年前と同じ過ちは犯さん。オール・フォー・ワン。爆豪少年と雪水少女を取り返す!そして貴様は今度こそ刑務所にブチ込む!貴様の操る敵連合もろとも!!」
「それは…やることが多くて大変だな。お互いに」
オールマイトがオール・フォー・ワンと呼ぶ敵のボス目掛けて再び飛びかかる。
しかしオール・フォー・ワンは片手をかざすとさっきとは比べ物にならない威力で遠くまで吹き飛ばしてしまった。
「オールマイトォ!!!」
「心配しなくてもあの程度じゃ死なないよ。だから…ここは逃げろ弔。その子を連れて。黒霧、皆を逃がすんだ」
「ちょ!あなた!彼やられて気絶してんのよ!?よくわかんないけどワープを使えるならあなたが逃がしてちょうだいよ」
「僕のはまだ出来立てでねマグネ。転送距離はひどく短い上…彼の座標移動と違い僕の元へ持ってくるか、僕の元から送り出すしか出来ないんだ。ついでに…送り先は人。なじみ深い人物でないと機能しない。個性強制発動!」
さっきのパワーと言い、今目の前で他人の"個性"を強制的に発動させている力と言い…一体どんな"個性"の持ち主なのか。
敵のボスの"個性"に底知れぬ恐怖を感じた。
「さあ行け」
「先生は…!」
「逃がさん!!」
遠くまで吹き飛ばされたオールマイトが戻ってきて2人がまたぶつかり合う。
たかだかヒーローの卵である私にとって目の前で繰り広げられている戦闘は、別次元とも言えるモノだった。
「常に考えろ弔。君はまだまだ成長出来るんだ」
「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトをくい止めてくれてる間に!コマ持ってよ」
「めんっ…ドクセー」
やはり爆豪君はまだ狙われている。
私のことは眼中にないらしい今なら逃げられるかもしれない。
けれど、友達が狙われているのに自分だけなんて。
そんな事出来るわけがない。
「爆豪少年…!!今行くぞ!!」
「させないさ。その為に僕がいる」
オールマイトはオール・フォー・ワンに邪魔されてこちらに来ることは出来ない。
6人もの敵が爆豪君を捉えようと攻めてきている。
対人経験は殆どないけれど、今この場で私が出来ることを。
吹き飛ばされて倒れた身体を即座に起こし、勢いのまま爆豪君の方へと飛び出した。
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