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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第9章 原作編《神野事件》


紫沫SIDE


時間の感覚が欠如したまま眠ることも出来ずにいると、扉の開く音が聞こえた。
ゆっくりと顔を持ち上げそちらを見やれば、私をここに連れてきた張本人の姿。

「案外簡単に堕ちるんだね」

思考回路の鈍っている頭では敵の言葉の意図をはかることができない。

「折角だし、オトモダチのところに連れてってあげるよ」

しかしその単語は閉ざしかけていた私の心を引き戻させた。

「…え?」
「一応言っとくけど、大人しくついてきなよ?まだ殺すには早いから」

敵の表情は相変わらずマスクに覆われて見えないけど、唯一見えた瞳から鋭い殺気で射抜かれたような感覚に陥った。
多分少しでも変な動きをすれば容赦なく私の命は奪われる。
そう思わせるに充分な威圧感だった。

「流石にその格好で野郎どもの中に連れてくのは気がひけるから、それあげるよ」

何かをこちらに投げられ、それを手に取ってみれば私には少し大きめのシャツだった。
そう言えば今着ている服は引き裂かれてしまっていたことを思い出す。
言われるままその服を身に纏うと少しだけ敵の瞳が揺れた気がした。

「…いつまで経っても、紫沫は小さいままだね」

何か言った気がしたけど、それは私には聞こえない程の声で聞き返そうにもすぐに背を向けられ歩きだしてしまう。
このチャンスを逃せばもう二度とここから出られなくなりそうで、慌ててその後を追った。
扉の向こう側はすぐに階段があってそれを下って行くと、また扉の前に来る。
どこかの廃ビルなのかもしれない。
敵が扉を開く直前、中から爆発音がしたかと思うと声が聞こえてきた。

「黙って聞いてりゃダラッダラよォ…!馬鹿は要約出来ねーから話が長ぇ!」
「死柄木…!」
「要は、「嫌がらせしてえから仲間になって下さい」だろ!?無駄だよ。俺はオールマイトが勝つ姿に憧れた。誰が何言ってこようがそこァもう曲がらねえ」
(この声…爆豪君…?仲間って…敵連合に誘われてる…?)

敵は中で起きていることなどお構い無しに扉を開くと先に中へと押し込まれる。
その勢いで床に手を付く形になるとすぐに扉が閉ざされた音がして、私の隣を歩いて行く気配がした。
ゆっくりと顔を上げると目の前には以前USJで見た敵二人と見たことのない敵が数人、そして爆豪君の姿。
連れてこられたのはまるでバーの様な場所だった。


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