第8章 原作編《林間合宿》
紫沫SIDE
飯田君達が避難してきた直後、マンダレイの"テレパス"で戦闘を許可すると指示が入った。
そしてもう一つ、重要な情報が告げられる。
『敵の狙いの一つ判明——!!生徒の「かっちゃん」わかった!?「かっちゃん」!!「かっちゃん」はなるべく戦闘を避けて!!単独では動かないこと!!』
「誰だよ!」
「爆豪…!?」
「爆豪って確か…轟とペアだったよな?」
尾白君のその一言に思考は一気に悪い方へと加速した。
標的である爆豪君は敵に遭遇する可能性が一番高い。
どんな狙いがあるのかはわからないけれど、もし命を狙われているなんて事になれば一緒にいる焦凍君だって危ない。
不安ばかりを募らせていると、切島君の声が聞こえてきた。
「ダチが狙われてんだ。頼みます、行かせてください!!」
「ダメだ!」
「敵の数が不明ならば戦力は少しでも多い方が!」
「戦えって相澤先生も言ってたでしょ!?」
「ありゃ自衛の為だ。皆がここへ戻れるようにな」
私だけじゃない。
皆心配する気持ちは同じなんだ。
それならば飯田君の言うように戦力として救けに向かいたいと思っていると、扉に人影が見える。
「相澤先生が帰ってきた。直談判します!」
「……や…待て、違う!」
その直後、扉を巻き込んで青い炎が部屋の中へと襲いかかってきた。
「皆、下がれ!!」
「さっきやられてた——敵!!?」
「遅いわ!」
しかしすぐ様ブラド先生の"個性"が敵を壁に押さえ付けて捉える。
「こんなところまで考えなしにガン攻めか。随分舐めてくれる!」
「「操血」…強え!」
「そりゃあ舐めるだろ。思った通りの言動だ。後手に回った時点でおまえら負けてんだよ」
「——…!」
「ヒーロー育成の最高峰雄英と平和の象徴オールマイト。ヒーロー社会に於いて最も信頼の高い2つが集まった。ここで信頼の揺らぐような案件が重なれば…その揺らぎは社会全体に蔓延すると思わないか?例えば——…何度も襲撃を許す杜撰な管理体制。挙句に生徒を犯罪集団に奪われる弱さ」
そこまで聞いて、爆豪君を攫うことが目的のなのだと気付く。
一先ず爆豪君の命が狙われているのではないと知った直後、私の意識は何者かによって奪われていた。
「やァ、久しぶりだね。会いたかったよ」
意識が途切れる直前、聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
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