第8章 原作編《林間合宿》
紫沫SIDE
翌日、合宿二日目AM5:30。
「お早う、諸君」
起床時間の早さからまだ目覚め切っていない人が数人いる中、合宿所近くの開けた場所に集められ、相澤先生が説明を始める。
「本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる"仮免"の取得。具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ。心して臨むように。というわけで爆豪。こいつを投げてみろ」
相澤先生が爆豪君にボールのようなものを投げ渡した。
「これ…体力テストの…」
「前回の…入学直後の記録は705.2m…どんだけ伸びてるかな」
私が欠席していた入学式の日に行っていたやつだ。
"個性"ありきだって聞いたから記録が通常で考えるととんでもない数字になっている。
「おお!成長具合か!」
「この三か月、色々濃かったからな!1kmとかいくんじゃねえの!?」
「いったれバクゴー!」
「んじゃ、よっこら…くたばれ!!!!」
その勢いに嫌でも目が覚めた。
爆発に乗せてボールのようなものが遙か彼方へと飛んでいく。
そして何より、なんという掛け声…何かボールに恨みでもあるのだろうか…
「709.6m」
「!!?」
「あれ…?思ったより…」
「変わってない?」
「約三か月間様々な経験を経て、確かに君らは成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで"個性"そのものは今見た通りでそこまで成長していない。だから——今日から君らの"個性"を伸ばす。死ぬ程キツイがくれぐれも…死なないように——…」
そうして、地獄のような強化合宿が幕を開けたのだった。
その内容というのはーー…
"個性"も身体機能の一つなのだから筋繊維と同じ原理らしい。
酷使することにより壊れ、強く太くなる。
使い続ければ強くなり、でなければ衰える。
要するに何をするかというと「それ即ち限界突破!」だそうだ。
許容上限のある発動型は上限の底上げ、異形型・その他複合型は"個性"に由来する器官・部位の更なる鍛錬。
私はというと、取り敢えずは現段階でのキャパを知るところから。
強制シャットアウトがなくなったからこそ、身体が一体どこまで"個性"に耐えられるのかを把握する必要があるのだ。
それがわかれば後は皆と同様に「限界突破するのみ!」だそうだ。
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