第8章 原作編《林間合宿》
紫沫SIDE
落下先を見据えて体制を整えて着地をする。
夏休みに入ってからも体力強化は続けていたし、入学してから三ヶ月の間に授業を通して鍛えられてきたお陰で身体の動かし方は身に付いていた。
そして、日常ではあまりお目にかかることのないような森を目の前にした私達に向かって頭上から声が聞こえてきた。
「私有地につき"個性"の使用は自由だよ!今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!この…"魔獣の森"を抜けて!!」
「"魔獣の森"…!?」
「なんだ、そのドラクエめいた名称は…」
「雄英こういうの多すぎだろ…」
「文句言ってもしゃあねえよ。行くっきゃねえ」
「耐えた…オイラ耐えたぞ」
そう言えば峰田君がずっと何かを言っていた。
でも、1人で駆け出して大丈夫だろうかと思った矢先。
「「マジュウだー!?」」
森の雰囲気に相応しいナリの魔獣が現れた。
それに対して口田君が"個性"を発動している。
「静まりなさい、獣よ。下がるのです」
「口田!!」
「!?」
しかし魔獣の動きが止まることはなく、口田君目掛けて襲いかかろうとしていた。
動物を従える"個性"が通じないということは…
そう思い至ったのとほぼ同じタイミング。
焦凍君、緑谷君、飯田君、爆豪君の4人が駆け出してマジュウを破壊したのだった。
「あの魔獣を瞬殺かよ!」
「やったな!」
「やった…オイラやっちまった…」
「さすがだぜ、爆豪!」
「まだだ!」
そう言って爆豪君が見据えていたのは森の奥。
何処からともなく魔獣らしき呻き声が聞こえてくる。
「おいおい…一体何匹いるんだよ!」
「どうする?逃げる?」
「冗談!12時までに施設に行かなきゃ昼飯抜きだぜ!」
「なら、ここを突破して最短ルートで施設を目指すしかありませんわ!」
「ケロ!」
「よし、いくぞA組!」
「「「おう!」」」
そこから1-Aの猛攻撃が始まった。
索敵能力に長けた耳郎さんと障子君の情報をもとにそれぞれが的確に魔獣を破壊していく。
それぞれが"個性"にあったやり方で。
足止めをしたらスイッチして魔獣を破壊。
私は早速今朝もらったサポートアイテムを取り出し、試しに右足の太腿に装着する。
ぶっつけ本番にはなるけれど、仕方ない。
漸く使えるようになった"個性"を、初めて戦闘の術として発動させたのだった。
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