第2章 中学生編
紫沫SIDE
「私"個性"の話したっけ?」
「いや、授業の時に見かけた」
「あっ、成る程…」
まさか授業中彼に見られていたなんて、思っても見なかった。
勿論私は彼の"個性"が好きで、気付かれないように気をつけながらいつも見ているのだけれど。
自分も見られていたとは…
「それに…いや、なんでもねぇ…」
「ん?そっか?」
何を言いかけたのだろうか?
でも、なんでもないと言うのだからそれ以上聞くわけにもいかなくて、そのまま彼は帰ってしまった。
(なんだか気になる…今度機会があれば聞いてみようかな…)
こうして、中学2年の1学期は終わって行った。
(暇だ…)
夏休みに入り、幼馴染と遊べないとなると特にすることもなく、家でゴロゴロしていた。
夏休みの宿題は計画的にしているから今日の分が終わってしまうと、本当にやる事がない。
「紫沫、する事ないなら少しお使い頼まれてくれる?」
と、私の部屋にやってきたお母さんに買い物を頼まれた。
「わかったー。って、これちょっと遠くない?」
「暇なんでしょう?この調味料ここにしか売ってないのよ。お願いね」
まぁ、やる事ないし少し遠出するくらいいいか。
そう思い、日が暮れる前に終わらせようと早速出掛ける準備をして。
外に出ると空が少し曇っていたけど、そのお陰か暑さは少しマシな気がした。
それでも、歩くだけでジンワリと汗が滲み出ているのがわかる。
無事買い物を終えて、ついでに買ったアイスを持って道の途中に見つけた公園へと休憩しに入って行くと。
丁度木陰になっているベンチがあったのでそこに座ろうと足を進めていく内に、少し離れたベンチに誰かが座っているのが見えた。
(あれって、もしかして…)
それは数日前まで毎日のように見ていた紅白頭の彼だった。
顔を下に俯かせている為こちらに気づいていないようだけど、なんだかいつもと雰囲気が違う気がする。
思わぬ所で見かけてしまい声をかけようか悩んでいると、ふと顔が上がって。
「雪水…?」
視線が重なった。
久しぶりに会ったからなのか、少し鼓動が早くなった気がする。
「轟君、久しぶり…?」
彼の姿をよく見ると何処か違和感を覚えて、それが何故かはすぐにわかった。
「え、その痣どうしたの!?」
彼の体は痣だらけだったのだ。
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