第2章 中学生編
紫沫SIDE
なんとか遅刻を免れた私は、呼吸を整えている真っ最中。
「大丈夫か?」
声が聞こえてきた方へと振り向けば、いつもの無表情の彼がこちらを向いていた。
「っはぁ…うん、もう大丈夫。轟君、おはよ」
「ああ、おはよう」
あの日以来、彼とは普通に話せる仲になっていた。
「また寝坊したのか?」
「あはは…その通りデス」
「朝苦手なんだな」
「轟君は朝強そうだね?」
「強いわけじゃねぇけど、朝走ってるから早い時間に起きるようにしてる」
「私には真似できないな…」
そんなことを話してるうちに先生がやってきて、朝のHRが始まった。
明日から夏休みが始まる。
当分彼に会えなくなってしまうのはなんだか寂しい気もするけど、長期休暇はとても楽しみ。
幼馴染とどこへ遊びに行こうかなど、既に頭は夏休み気分だ。
(轟君は夏休みの間何してるのかな…)
流石に彼のプライベートを把握する程の仲ではない為、まだまだ知らない事は多い。
もし空いてたら何処か一緒に出掛けたりできないかな…
とそこまで考えてハッとする。
確かに話す機会が増えて緊張もあまりしなくなってきたけど、出掛けるとなるとそれはまた別のハードルだ。
連絡先を知っているのだからメッセージ位は送ってみようと思いつつ、終業式が行われる体育館へと幼馴染と共に向かった。
「やっと、終わったぁ!」
校長先生の無駄に長い話も終わり、幼馴染と共に教室に戻ってきた私は早速夏休みの予定を立てるべく手帳を開いて。
「今年の夏休みは何処に行く?」
「ごめん!紫沫!今年の夏休みは家族で旅行に行くことになっちゃって、あんまり遊べそうにないんだ…」
「そうなんだ?じゃぁ、また空いてる日があったら教えて?」
「うん!また近いうちに連絡する!」
そう言うと、旅行の準備があるとかで早めに帰って行ってしまった。
別に一緒に帰っても良かったのだけど、なんだか急いでるみたいだったし、特に用もなかった私はゆっくり帰ることに。
自分の席へと戻ってくると、丁度轟君も帰ろうとしているところだった。
「あ、轟君、またね。次顔合わせるのは2学期かな」
「ああ、そうだな。雪水は暑さで倒れねぇように気をつけろよ」
「えっ、なんで暑いの苦手なの知ってるの?」
「お前の"個性"雪だろ?体質的にそうじゃねぇかと思っただけだ」
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