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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第6章 原作編《期末試験》


紫沫SIDE


「学校での話だぞ」
「轟君とは殆ど学校でしか会ってないよ?」
「そうだが、別に気にする様なことは言ってねぇと思う」
「会いたかったのはもう一つ理由があるの」

その言葉に思い当たることがなくて疑問符を浮かべた。
学校以外では数える程しか会っていないし、その話だとしてもどこに会いたくなる理由があったのか見当がつかなかった。

「昔、焦凍の怪我を治してくれたよね?そのことを聞いて、ずっとお礼が言いたかったのーー…紫沫ちゃん、ありがとう」

最近のことばかりを考えていたから、幼い頃の話もしていたとは思いもよらず驚いた。
それに、当時のことだって感謝される程のことじゃない。

「あ、あれは私が勝手にといいますか、たまたま"個性"が発動したといいますか…」
「それでも感謝してるのよ。痛々しい姿をした焦凍を私は慰めることしか出来なかったから…泣いてばかりいたのに笑顔を浮かべて帰ってきたかと思うと怪我までもすっかり消えていたのを見て、なんだか私も救われた気がしたの」
「私は何も…」
「小っちぇ時の俺にとって紫沫の存在は、少なくとも忘れられねぇものだった」
「轟君…」

こんな展開になるなんて予想もしてなくて、どう返したらいいのかわからない。
けど、その言葉に私は嬉しいと言う気持ちを抱いているのは確かだった。

「だから、これからも焦凍のこと、よろしくお願いね。2人が恋人同士って聞いてとても嬉しいと思ったの。あんな小さい時から焦凍のことを想ってくれる子なら、きっと素敵な子だって思ってたから」
「私の方こそ、と…焦凍君に沢山救けてもらいました。焦凍君だからこんなに好きになったんです。出逢えたことにとても感謝しています。だから…焦凍君を産んで下さってありがとうございます」

それは気持ちを並べていく内に出てきた言葉だった。
深い意味があったとかじゃなくて、当たり前のこととして。
けれど、2人には私の知らない何か意味がある言葉だったのか、少し驚いた顔をして轟君のお母さんは何だか泣きそうな顔をしていた。
少し気にはなったけど、これは私が聞くべきことじゃないと思ったからそれ以上は何も言わなかった。


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