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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第6章 原作編《期末試験》


紫沫SIDE


初めて行く病院という事もあり、最寄駅で待ち合わせをしてから一緒に向かっているのだけれど、病室が近付くにつれて緊張が高まっていく。
初対面という事もあるし、何より轟君のお母さんというのが私をより一層緊張させた。

「緊張してんのか?」
「うん…」
「大丈夫だ。すげぇ楽しみにしてたから、喜ぶと思うぞ」
「それでも、やっぱり緊張はするよ…」
「手、繋ぐか?少しは和らぐかもしれねぇ」
「うん…いや、やっぱり、手繋いで会うのもなんだか変じゃないかな?」
「俺は別に構わねぇが、気になんなら病室入る前に放せばいいだろ」

そう言って、轟君は私の手に指を絡ませた。
所謂恋人繋ぎというやつだ。
私よりも大きな手と、一本ずつ絡められてることで感じた細くて綺麗な指の感触に何だか別の意味で緊張してしまいそうになったけど、その温もりに安心感を覚えたのも事実。
病室の前までの短い間で本当に緊張が和らいでいて、手を放された時には少しだけ名残惜しくなってしまう程だった。
轟君が一度こちらに目線を合わせてから、扉へと振り向き取っ手に手をかける。
少しずつ開かれた扉の先に見えたのは、丸いパイプ椅子に座って窓の外を見つめている白い髪色をした女性の後ろ姿。

「お母さん」
(轟君、「お母さん」って呼んでるんだ)

いつもは「母」と言っていたから、その呼び方が少しだけ気になった。
長い間会っていないと言ってたし、幼い頃に呼んでいたままだから皆の前では変えているのかななんて。
声を掛けられ、ゆっくりとこちらに振り向いた女性は轟君の右と同じ目の色をしていて少し儚げな印象を受けた。

「焦凍、いらっしゃい。後ろの方は?」
「会いたいって言ってたから、連れてきた」
「は、初めまして。雪水紫沫です」
「あなたが…初めまして。焦凍の母の轟冷です。やっと会えて嬉しい。良く焦凍が話をしてくれるからずっと会いたいと思っていたの」

穏やかな声でとても優しそうなお母さんだ。
微笑んだ顔が轟君と似ている気がして、少しだけ見つめてしまった。

「俺、そんなに話してたか?」
「毎週来る度に名前を聞く位には話してくれてたよ」
「え!?一体どんな話を!?」

毎週名前が上がる程だと聞いて、そんな頻繁に話してたらなにか良からぬ情報もあるのではと、根拠はないけど少し心配になった。


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