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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第6章 原作編《期末試験》


no SIDE


「駄目だおまえら」

死柄木の両手が三人目掛けて伸びて来たのと同時に、三人もまた死柄木に向けて手を伸ばした。
しかし、その手は黒霧の"個性"によってそれぞれに触れることなく、あらゆる方向へと向いている。

「落ち着いて下さい。死柄木弔。あなたが望むままを行うのなら、組織の拡大は必須。奇しくも、注目されている今がその拡大のチャンス。排斥ではなく受容を。死柄木弔。利用しなければ全て…彼の遺した"思想"も全て…」

最後の言葉は極小さな声だった為、死柄木にしか聞こえていない。

「…うるさい」
「どこ行く」
「うるさい!」

黒霧の言葉を聞いた死柄木は"個性"から手を外すと、バーの外へと姿を消した。

「取引先にとやかく言いたかないが…若いね。若過ぎるよ」
「殺されるかと思った!」
「……気色ワリィ…」
「仲良くは…出来そうにないな」

三人もまた"個性"から手を外すとその後ろ姿を見送りながら、そう口にした。

「返答は後日でもよろしいでしょうか?彼も自分がどうすべきかわかっているハズだ…わかっているからこそ、何も言わず出て行ったのです。オールマイト、ヒーロー殺し…もう二度鼻を折られた。必ず導き出すでしょう。あなた方も自分自身も。納得するお返事を…」

黒霧がそう告げたことで、三人と義欄はそのバーを後にする。
第一印象はお世辞にも良いものとは言えなかった。

「業くん!私とお友だちになりましょう!」

先にビルを出た義欄に続き、業と荼毘もその場を去ろうとした時だった。
トガの突拍子もない発言によって呼び止められる。
業は少し間を空け、顔に笑みを浮かべた。

「そうだね。もしまた会うことがあれば、その時に」
「やったあ!お友だち!」
「じゃあね」
「…」

嬉しそうなトガを尻目に、2人は一足先にビルの外へと向かう。
並んで歩きながら、無言の荼毘が気になった業が口を開いた。

「どうした?」
「あんなイカレ女やめとけ」
「もしかして心配してくれてんの?大丈夫、多分悪い子じゃない」
「そういう問題か。マトモな会話一つ出来ねェぞ」
「それに、また会えるかなんてわからないしさ」
「…」
「それより、お腹すいた。どっか食べに行こうよ」

トガの話は終わったとばかりに話題を変えた業に、荼毘はそれ以上何も言わず、新たな目的地への歩みを進めたのだった。


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