第6章 原作編《期末試験》
no SIDE
ここはとあるアパートの一室。
物は必要最低限しかなく、あまり生活感のない部屋だ。
そこにあるのは二つの人影。
1人は顔中ツギハギだらけで、もう1人は中性な顔立ちをしている。
「準備出来た?」
「んなもんねェだろ」
「確かに」
「行くぞ」
二人は並んでその部屋を後にした。
「良い人達だと良いんだけどなぁ」
「敵連合なんて名乗ってる奴らだ。良いもクソもあるかよ」
「どうせなら仲良くなれたらって思ってね」
「馴れ合うつもりはねェ」
「友達欲しいと思ったんだけど」
「必要ねェだろ」
その言葉を聞いて一瞬間が空いた後に、クスクスと楽しそうに笑い冗談交じりに告げる。
「それもそうだね。僕には君だけだよ」
並んで歩く二つの影は、とあるビルの中へと消えて行く。
そこに待ち受けていたのは大物ブローカーとして名を馳せている男と女子高生らしき女の子。
「女子高生がなんでこんな所に?」
「彼女も君らと同じく敵連合に興味がある子だ」
「義欄さん、マジですか?こんな子が…」
「あなた…私と同じ匂いがします」
「は?」
「話をするなら向こうでしてくれ。取引先がお待ちかねなんでね」
そう言うと、大物ブローカーこと義欄は目の前の扉に手を掛け、形だけのノックをしながら、中にいるであろう人物の名前を口にした。
「死柄木さん」
開いた扉の向こう側は隠れ家的バーになっている。
名を呼ばれた男ー死柄木弔はとある写真を見ていたが、来訪者が来たことで視線をそちらへと向けた。
「こっちじゃ連日あんたらの話で持ちきりだぜ。何かでけえ事が始まるんじゃねえかって」
「で、そいつらは?」
義欄の後ろから現れた三人の姿を見付けると同時に持っていた写真を握り潰したかと思うと、手を開けばそれは粉々になってパラパラと散らばっていた。
「生で見ると…気色悪ィなァ」
「素顔見れるかと思ったけど、残念」
「うわあ手の人、ステ様の仲間だよねえ!?ねえ!?私も入れてよ!敵連合!」
各々が好き勝手言葉を口にする中、手首までしかない誰かの手で顔を覆っている死柄木の表情は隠れて伺えないものの、カウンターの椅子に座る姿は明らかに機嫌が良いとは言えない様子だった。
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