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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


またしてもいきなり髪に触れられた。
しかも今度は髪に触れることが目的だったようで、その上凄く恥ずかしくなることを言われて。
私は顔を俯かせて赤くなっているであろう顔を隠すのに必死だった。
すると、今日の本題である勉強へと話題を変えてくれて、私もそちらに集中して気を紛らわそうと再び問題集へと顔を向けた。
それからは特に何事もなく勉強をすることができて、期末考査は問題なく挑めそうな程に英語の苦手意識が薄れていく。

「轟君、ありがとう。これなら期末考査なんとかなりそう!」
「そうか」

ひと段落ついたところで、すっかり汗をかいてしまっている飲み物の入ったコップが目に入った。

「あ、飲み物、頂きます」
「おお」
「それにしても、轟君勉強教えるの上手だね?」

数時間前の緊張や恥ずかしさはすっかり消えていて、勉強が捗った満足感から、自然と会話をすることができていた。

「そうか?人にもの教えるとかしたことねぇから、よくわかんねぇけど…雪水がそう言うならそうなのかもな」
「え、そうなの?」
「ああ。こんな事すんのは雪水が初めてだ」

その言葉になんだか自分が特別みたいに言われた気がして、嬉しくなってしまう。

「…あの、これからも、轟君とこうやってお喋りしたいな…」

きっと、彼にとっては特別なんてそんなことないのだろうけど、それでも少し勘違いするくらいいいかな。
なんて都合のいい考えをしてしまい、彼にもっと近づきたいという欲が外に出てきてしまった。

「わざわざ聞かねぇでも、普通に喋りゃいいんじゃねぇか?」
「あ…そう、だね」

あっさりとそんな答えが返ってきて、今まであんなに遠慮していた自分が情けなく思えてきた。

(そういえば、今も普通にお喋りしてる…)

数ヶ月前まではただ遠くから見つめるだけだったのに、偶然が重なって、彼との距離がこんなにも近くなって。
まるで、奇跡みたいだなと心の中でそっと呟いた。

「もう勉強はいいのか?」
「うん。今日は本当にありがとう!」

その後も他愛ない会話を少しして、外が暗くなる前に彼のお家を出ることに。
今日1日で一歩どころか百歩くらい彼との仲が前進したような気がする。
家に着いてから彼にメッセージを送り、明日朝少し話しかけてみようかななんて思いながら。
その日は眠りについた。



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