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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第6章 原作編《期末試験》


紫沫SIDE


《それでは最終試験を行うーー…START!》

相澤先生の声でアナウンスが流れた。

(そういえば、こっちの"個性"はクラスの皆には見せた事なかったな…轟君にも…)

この場にいないとは言え、初めて見せるのだと思うと試験とは関係ない所で少し緊張した。
もう一度、ゆっくりと深呼吸をして、私は"個性"を発動させると、すぐ様辺り一面は雪で覆われてしまう。
一学期の間中放課後に"個性"を使い続けたお陰なのか、キャパが少し伸びていて、10分程は今の状態を保つことが出来る様になっていた。

(制限時間30分とは言っていたけど…実質私にとってのタイムリミットは約10分…)

その間に何とかしてこの"個性"を制御しなければ、気を失って強制終了ーー…つまり除籍処分という事だ。
身体に影響が出始めるのはまだもう少し先。
焦っては駄目だとなるべく心を落ち着かせ様とするけど、どうしても身構えてしまうきらいがあった。
暴走したあの日から、思う様にならない"個性"に苦手意識を持ってしまっているのかもしれない。

(このままじゃ、今までと何も変わらない…)

ふと、クラスの皆がそれぞれの"個性"を活かして期末試験をクリアしていった姿を思い出した。

(私もあんな風に、"個性"を使える様になりたい)

そんな想いとは裏腹に"個性"は私の意思とは関係なく発動し続けている。
無情にも時間は過ぎて、体温低下の兆しが出始めていた。

「何で…どうして上手く、使う事が出来ない…っ」

毎日の様にしていた放課後の練習の事が頭をよぎる。
相澤先生はこの1学期それにずっと付き合ってくれていたのに、何の成果も出せないままなんて申し訳ないじゃないか。
それに、何の繋がりもなくて厄介なものを抱えた私を引き取ってくれた睡さんにも、ずっと励まされて来た。
轟君だって、応援してくれたのに。

「っ絶対に諦めちゃ駄目だ」

こんな風に思えるのは、雄英に来て目の前で高い壁に立ち向かい続ける皆の姿に胸打たれて自分もそうありたいと願っているからかもしれない。
気付けば、私の周りには救けてくれる人達がいて、見守ってくれて、傍にいてくれて、沢山勇気をもらった。
既にタイムリミットの10分が近づいていて、いつもなら意識が薄れ始めてもおかしくないのに、体温は低いままなのに、心の中が暖かい気持ちで一杯だ。


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