• テキストサイズ

【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第6章 原作編《期末試験》


紫沫SIDE


動けないでいると、後ろから伸びてきた腕が私の前で交差して。
背中に何かが当たる感触がした。

「紫沫、好きだ」

後ろから抱き締められているのだと気付いたと同時に、耳元で囁く声が鼓膜を揺らす。
背中から伝わる温もりが心地よくて、囁かれた言葉が嬉しくて。
自然と口から気持ちが溢れた。

「私も、轟君が好きだよ」

前で交差していた手が肩に添えられると、ゆっくりと身体が反転して視線が交わって。
どちらからともなく私達は口付けを交わしていた。
触れた唇はそれだけでは物足りないと、最近知った深い口付けへと変わっていく。
後頭部に手が回されて、腰には腕が絡まり、より一層深くなるそれに思考が蕩けてしまいそう。

「…ん…ぅっ」

喉の奥で音が漏れるけど、口を塞がれているから外に出られない。
程なくして放された時には自分で身体を支える事が出来なくなっていて、轟君の方へと倒れ込んでしまった。

「っと、大丈夫か?」
「…大丈夫、じゃない」
「悪ィ…紫沫が可愛い反応するから止まんなくなっちまった」

轟君の言葉に、私はたまにとてつもなく恥ずかしくなる時がある。
今が正にそれだ。
倒れ込んだ事で轟君の胸に顔を埋める様な形になっていたから、赤くなる頬を隠すためにそのままでいると、

「今日、ミッドナイトいねぇんだな」
「…休日出勤って、言ってた」
「そうか…」

そんな事を聞かれて、一体どうしたというのかと不思議に思っていると、轟君の声がまた聞こえてきて…

「もっと、紫沫に触れてぇ。あの日の続き…してもいいか?」

あの日とは…続きとは…
すぐに思い当たってしまった。
今日は勉強をするつもりで、2人きりになったのはたまたまで、
そんな言い訳を並べたけれど、結局自らも少なからず期待していたのではと、思い当たった時点で手遅れだと思った。

「いいよ…」

そう返すと、後頭部に回されていた手が優しく私の顔を上へと向かせ、再び唇が重ねられた。
触れるだけの口付けが放れると、次は首元へとそれが移って。
身に覚えのある鈍い痛みに、またキスマークを付けられたと頭の片隅で思いながら、私の思考は轟君が触れる度にどんどん奪われていくのだった。


.
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp