第6章 原作編《期末試験》
紫沫SIDE
ここで、このクラス最優秀生徒の八百万さん(1位)から天の一声がかかった。
「お二人とも、座学なら私、お力添え出来るかもしれません」
「ヤオモモー!!!」
「演習のほうはからっきしでしょうけど…」
何だか顔に影がかかっている様に見えて、少し気になった。
「お二人じゃないけど…ウチもいいかな?2次関数ちょっと応用つまずいちゃってて…」
「え」
「わりぃ俺も!八百万、古文わかる?」
「え」
「おれも」
「良いデストモ!!」
けれど、耳郎さん(8位)や瀬呂君(18位)、尾白君(9位)に座学を頼られた時には明るい表情をしていたから、もしかしたら私の勘違いだったのかもしれない。
「この人徳の差よ」
「俺にもあるわ。てめェ教え殺したろか」
「おお!頼む!」
少し離れた所で切島君(16位)が爆豪君(3位)というなんともスパルタな先生をゲットしていたのが視界の端に映った。
そして、その日のお昼は期末対策の話をしようと、お茶子ちゃん(14位)と梅雨ちゃん(7位)と葉隠さん(17位)と共に、轟君と緑谷君と飯田君も一緒に学食に来ている。
最近では緑谷君達に混じって自然に轟君と学校で共に過ごす事が出来ていた。
こうやってお昼を一緒に食べることもあって、私は隣の席に座り轟君は相変わらずざる蕎麦を食べている。
「普通科目は授業範囲内からで、まだなんとかなるけど…演習試験が内容不透明で怖いね…」
「普通科目まだなんとかなるんやな…」
「突飛なことはしないと思うがなぁ」
「一学期でやったことの総合的内容」
「とだけしか教えてくれないんだもの、相澤先生」
「戦闘訓練と救助訓練。あとはほぼ基礎トレだよね」
話題は専ら演習試験の事で、私自身も筆記よりこちらの方が不安でたまらなかった。
「訓練にほぼ参加できなかった私はどうなるんだろう…」
「紫沫に関しては何とも言えねぇな。"個性"の制御まだ出来てねぇんだろ?」
「うん…」
そうなのだ。結局私は未だに一度も制御に成功した事がなくて、内心は相当焦っていた。
相澤先生からの叱責も日に日に増していたし、焦った所で上手くいく訳ではないのに、なかなか解決の糸口を見つけられずにいる。
「焦っても仕方ねぇけど、なかなか上手くいかないのも辛ェな」
「このままだと期末テスト受ける事すら危ないよね…」
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