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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


話が終わるとすぐにプロヒーローと署長さんは帰っていき、飯田君は診察に緑谷君は麗日さんから着信が入ったと病室を出て行ってしまい、図らずも轟君と2人きりになり、ベッドの上に並んで座っていた。

「…轟君、ワガママ言ってもいい?」
「構わねぇけど、どうした?」
「ギュッて、して欲しい…」

私の言葉に何も言わず抱き締めてくれた。
昨日の夜は無事を確認できただけで、時間もあまりなかったからすぐに帰ったけど、ホテルに着いてからも不安を完全に拭い去る事が出来ずにいたのだ。
今こうして改めて轟君に触れる事が出来て、温もりを感じられた事で漸くその不安が消えていくのがわかった。

「ちゃんと、ここにいるんだよね…」
「ああ、紫沫の傍にいる。不安にさせて悪かった」
「…うん」

そして、轟君の手がそっと頬に触れ、ゆっくりと上を見上げれば、綺麗なオッドアイと視線が交わる。

「…紫沫」

それは二人だけの暗黙の了解。
私が瞳を閉じると轟君が近づいてきたのがわかり、唇が重なる。
暫く触れるだけだったものが徐々に深いものへと変わり、まだ慣れないそれにあっという間に身体の力が奪われてしまう。
前はそこで終わりだったのに、それがわかっていたからか轟君の腕が支えてくれていて、頬にあった手は後頭部へと回され、すぐには放してくれそうにない。
次第に息が苦しくなり、頭がボーッとして何も考えられなくなった所で、ゆっくりと後ろに倒れていく感覚がした。
気付くと私の背中はベッドに当たっていて、まるで押し倒されたかの様な体制になっている。
漸く放された口付けに少しだけ息が上がっていた。
離れたのは唇だけで、轟君との距離は未だ近いまま、開かれた瞳に見つめられているからなのか、先程の行為のせいなのか、身体の熱が上がってる気がする。
このまま一体どうなってしまうのだろうとぼんやりとした頭の片隅で何かを期待している自分がいた。
そして、囁く様に轟君の心地いい低音の声が私の鼓膜を刺激する。

「昨日ちゃんと寝てねぇだろ」
「…え?」
「朝来た時、妙にテンション高ェから気になってた。今誰もいねぇし、少し寝てろ」

予想外の言葉になんだか少し腹が立った。

「眠れない…轟君のせいだからね」
「俺のせいなのか?」
「…轟君のせいだよ」


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