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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


「個人の武力行使…容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは、先人たちがモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン。資格未取得者が保護管理者の指示なく"個性"で危害を加えたこと。たとえ相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン。君たち三名及びプロヒーロー、エンデヴァー、マニュアル、グラントリノ。この六名には厳正な処分が下されなければならない」
「待って下さいよ」
「轟くん…」

署長の言葉に轟君が意を唱え一歩前へと出る。
確かに言っている事はもっともだけど…何だか釈然としなかった。

「飯田が動いてなきゃ"ネイティブ"さんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ二人は殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんですよ。規則守って見殺しにするべきだったって!?」
「ちょちょちょ」
「結果オーライであれば規則などウヤムヤで良いと?」
「ー…人をっ…救けるのがヒーローの仕事だろ」
「だから…君は"卵"だ。まったく…良い教育してるワンね。雄英も…エンデヴァーも」
「この犬ー…」

その呼び方は流石にマズイと思った。
轟君はたまにとても口が悪くなる。

「やめときたまえ。もっともな話だ!!」
「まァ…話は最後まで聞け」
「以上がー…警察としての意見。で、処分云々はあくまで公表すればの話だワン。公表すれば世論は君らを褒め称えるだろうが、処罰はまぬがれない。一方で汚い話、公表しない場合ヒーロー殺しの火傷跡からエンデヴァーを功労者として擁立してしまえるワン。幸い目撃者は極めて限られている。この違反はここで握り潰せるんだワン。だが、君たちの英断と功績も誰にも知られることはない。どっちがいい!?一人の人間としては…前途ある若者の"偉大なる過ち"にケチをつけたくないんだワン!?」
「まァどの道、監督不行届で俺らは責任取らないとだしな」
「申し訳ございません…」
「よし!他人に迷惑かかる!わかったら二度とするなよ!」
「…よろしく…お願いします」
「大人のズルで君たちが受けていたであろう賞賛の声はなくなってしまうが…せめて、共に平和を守る人間として…ありがとう!」

そう言って、署長さんは深々と頭を下げていた。
前言撤回だ。十分納得することが出来る話だった。



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