第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》
紫沫SIDE
昨日に引き続き、クラスメイトの前で情けない姿を見られた事に少し恥ずかしくなってしまった。
「いや、緊急事態だったしな。やはり好いた相手の事は1番に気になるのだろう」
「え?」
「二人は恋仲なのだろう?」
「飯田くん!あ、いや、その、僕達…轟くんから君達の事、聞いたんだ」
「…轟君が?」
「ああ。緑谷が気になってたみてェだったから、話した」
轟君が人にそう言う話をした事もだし、何より緑谷君が気にしていた事に驚いた。
「そっか…もしかして緑谷君気付いてた?」
「…うん。何となくだったんだけど、昨日の二人を見てそうかもって思っちゃって、轟君に聞いたんだ。ごめん」
「謝らないで!クラスメイトに知られてるって言うのにびっくりしただけだから」
中学の時は隠していたから当たり前の様に誰も知らないと思っていたのだ。
「そういや、中学の時はバレない様にしてたな」
「うん、だからこんなに早く周りに知られてる事に驚いた」
「え?そうなの?やっぱり聞いちゃまずかったかな…」
「あ、ううん。そう言う意味じゃないから、気にしないで?」
そして話がひと段落した時、病室の扉が開く音がした。
「おおォ。起きてるな怪我人共!」
「グラントリノ!」
「マニュアルさん…!」
「すごい…グチグチ言いたい…が、その前に来客だぜ」
「?」
「保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」
「面構!!署…署長!?」
現れたのは、プロヒーローと警察の人だった。
「掛けたままでけっこうだワン。君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね。ヒーロー殺しだが…火傷に骨折となかなか重傷で、現在治療中だワン」
「!」
「おや、君は雄英生徒だワンか?」
扉からは少し離れた轟君のベッド近くにいた為、私の存在にすぐに気付かなかったみたいだ。
「はい。お見舞いに来ていたんですけど、席を外した方がいいですよね?」
「事情知ってんだから構わねぇだろ」
「それならば、君にも話を聞いといて欲しいだワン」
「はい」
「超常黎明期…警察は統率と規格を重要視し、"個性"を"武"に用いない事とした。そしてヒーローはその"穴"を埋める形で台頭してきた職だワン」
ヒーロー殺しの事だと思っていた私は少し違う角度からの話が始まって、心の中で首を傾げながら話を聞いていた。
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