第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》
轟SIDE
「一応ホテルに連絡して事務所のサイドキックに確認取った。紫沫が1人でここに来てるみてぇだったからな」
「うっ…何から何までお見通しですね。申し訳ない…」
「気にすんな。心配かけたみてェだしな」
「僕も頼まれただけだよ」
「ありがとう…」
「多分そろそろタクシー来てる頃だと思うけど、すぐに帰る?」
「あ、うん。あんまり長居しても迷惑だろうし、明日もあるから」
「タクシーまで送ってくる。緑谷は先病室戻っててくれ」
「わかった。雪水さん、気をつけてね」
「うん。緑谷君は怪我酷そう…ゆっくり休んでね?」
「ありがとう。じゃぁ、またね!」
緑谷と別れて病院の外に向かい、既に到着していたタクシーに乗せ、見えなくなってから病室に戻ると、まだ緑谷と飯田は起きている様だった。
「緑谷、ありがとな」
「ううん…あの、轟くん、ずっと気になってたんだけど…雪水さんと、その…どういう関係なの?」
「関係?」
「いきなりどうしたんだい?緑谷くん」
「あのさ、実はマスコミ騒動の時に2人の事を見た気がして…それで、その時、轟くんが雪水さんの頭に…えっと…く、口が触れた様に見えて…」
いきなり何の事かと思えば、あの時の事を見られていたとは思わなかった。
確かに周りに人は大勢いたが、他人を気にする様な場面でなかった為、気にしていなかったのだ。
「見てたのか」
「あっ!いや!たまたまだよ!?ごめん!」
「ん?それは一体どういう事なんだ?」
「俺が紫沫の頭にキスしてたって事だろ」
「きっ…!?公衆の面前でなんて事をしているんだ!?」
「キスっつっても、一瞬だ。騒動で誰も気付いてねぇ」
「いや…うん、僕も本当にたまたま見ちゃったと言うか…それに、体育祭明けに雪水さんにお礼を言われ時に何だか君と色々あったって聞いて。その時は確信があった訳じゃないし、女子にあまりこういう事聞くのは良くないと思ってたんだけど、今日の感じ見ちゃうとどうしても気になっちゃって…」
「別に隠してる訳じゃねぇけど、色々あったのは確かだな。中学の時に付き合って、一度俺から離れてんだ」
「えぇ!?」
「な、なんと、2人は恋仲だったのか!?」
「ああ。んで、体育祭の事があって、また付き合ってる」
「今は薄々そうかなとは思ってはいたんだけど…中学の時にそんな事があったなんて」
.