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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


轟君の口から出て来た言葉はずっと私が欲しいと思っていたモノの筈なのに、何故か真っ直ぐ向けられたその気持ちに恥ずかしくなって顔を俯かせてしまった。

「初めて紫沫に気持ちを伝えた時からずっと変わらねぇ。そう想ってたのは俺だけだったか?」
「違っ…私も、ずっと、轟君の事…好きだった。けど、一度離れてしまってたから…気持ちがわからなくて…」
「離れたのは気持ちがなくなったからじゃねぇ。けど、その後ちゃんと伝えてなかったな。悪ィ」
「ううん…」
「紫沫…好きだ」

凄く嬉しいのに、胸が苦しい。
今までで一番感情が昂ぶって目頭が熱くなってくる。
轟君を好きな気持ちが止まらなくて、それが涙として溢れてしまった。

「っ私も、轟君の事…好きっ」

さっきまで椅子に座ってた筈の轟君がいつの間にこちらに来たのか、抱き締められていた。
恥ずかしさは何処かへ行ってしまっていて、轟君の事を好きな気持ちで心が一杯になっている。
そっと頬に手を添えられたかと思うと、優しくゆっくりと顔を持ち上げられた。
涙で濡れた目のせいで轟君の顔がぼやける。

「あんま泣くと目ェ腫れるぞ」

そう言って親指で涙を拭われ、そしてまた、名前を呼ばれる事なく唇が重なった。
昨日された口付けを身体が覚えていたのか、触れるだけのものが徐々に深いものへと変わっていく。
同じ行為な筈なのに、昨日とは全然違う感覚に襲われ、くぐもった声が漏れた。
なかなか終わらないそれに、身体の力が奪われていき、後ろに倒れそうになった所をやっと開放され轟君の腕が支えてくれた。

「っぶね」
「はぁっ…あり、がとう」

またしても上手く息ができていなかったらしく、呼吸が少し荒くなっている。

「涙、止まってんな」
「あ、本当だ…」
「念の為、冷やしとくか」

少し冷たい轟君の右手が目元を覆う。それがとても心地よくて何だか寝てしまいそうだった。









「紫沫?…寝てんのか…?…………おやすみ」



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