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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


「顔、熱ィな…」

私を見つめる瞳に熱が灯った様な気がした。
そこから視線を外す事が出来ないでいると、徐々に顔が近付いてきて唇が重なる。
少しの間目を閉じる事すら忘れて、唇を放されたと思ったら、吐息が掛かりそうな程の至近距離のまま轟君の瞳がゆっくりと開かれ、視線が交わった。

「口、少し開けろ」

綺麗なオッドアイの瞳に囚われ、囁かれたその言葉に抵抗する事が出来ず、ほんの少しだけ開いた口にまたすぐ轟君の唇が重なり、小さな隙間から何かが私の口内に入ってくる。
直ぐにはそれが何なのか理解する事が出来ずにいた私は、初めて感じるその感覚に身体が追いつかず。
無意識の内に轟君の服を握り瞳をギュッと閉じていた。
次第に息が上がってくる。
一体どれ位そうしていたのか、
頭がボーッとしてわからなくなっていると、漸く唇は離れて行った。
上手く息が出来ていなかったのか、肺が酸素を求めて呼吸が荒くなっている。

「悪ィ、ちょっとやり過ぎた。部屋、戻れるか?」

その言葉の意味すらもちゃんとわからないまま私は頷いていた。

「明日も早ェから、ちゃんと寝ろよ」

そう言って頭を撫でられ、後ろの扉を開かれた事で私は自分の部屋へと帰るのだとまだ意識がはっきりしないままその部屋を出た。
覚束ない足で何とか部屋まで辿り着き、そのままベッドに突っ伏した。
徐々に意識がはっきりとしてきて、先程何をされたかを理解する。
そういう行為がある事を知らない訳じゃない。でも、経験した事は無かったし、まさかこんなタイミングで経験するとも思ってなかった。
名前を呼ばれる事もなく、いきなりされた口付けは今までのものとは全然違っていて、私の知らない轟君がいた事に少し戸惑いも感じた。
けれど、それが嫌だとは思わなかった。 だからこそ抵抗する事もなく受け入れたんだと思う。
でも、轟君は何を思ってあんな事をしたのか…私の事をどう想っているのかわからないままの行為には素直に嬉しいとは思えなかった。
恥ずかしさと疑心から、一体どんな顔をして会えばいいのかわからないと考えつつも、日中の職場体験でパトロールして歩き続けた疲れからか、私の意識は程なくして眠りへと落ちたいったのだった。



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