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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


「…もし、私が変な気起こしたらその時は」
「俺が止めてやる」

私の言葉を遮ってまでそう言ってくれた事が嬉しくて、少し情けない。
知らず知らずの内に轟君を頼ろうとしていた事に気付き、自分の心の弱さを感じずにはいられなかった。

「…うん」

その後、お昼過ぎに保須へと到着し、そのままパトロールを行ったけど、特にこれといった収穫はなかった。
数日は保須での出張となった為、ホテルに宿泊する事となる。
それぞれ部屋を用意してもらい、夕飯も済ませ荷物の整理をしていた。

「あ、マフラー…返そうと思って持ってきてたんだった」

中学の時に返せないままでいたマフラーを、今ならば渡せると思い轟君の部屋へと向かう。
呼び鈴を鳴らすと、直ぐに扉が開いた。

「紫沫?こんな時間にどうしたんだ?」
「あの、これ…」

と言い出した処で、人の気配がしたと思ったら、咄嗟に腕を引かれ部屋の中へと引っ張られてしまう。

「え?」
「あ、悪ィ。もし親父だったら面倒な事になっちまうと思って。で、何か用事だったか?」
「あ、うん。これ、轟君のマフラーだよね?」
「…俺のだな。何で紫沫が持ってんだ?大分前に失くしたやつだぞ」
「中学の時に、倒れて保健室で目を覚ましたら隣にあって…ずっと返せなくてごめん…」
「そうか。あの時忘れちまってたんだな。いや、ありがとな」
「ううん。私の方こそ、あの時助けてもらったお礼言えてなかった。遅くなっちゃったけど、ありがとう」

約一年越しに漸くマフラーを返せてお礼を言う事が出来た。
轟君にそれを渡すと、少し見つめて何故か鼻に近付けている。

「…紫沫の匂いがする」
「へ?…え!?ちゃ、ちゃんと洗濯はしたんだけど、ずっとしまってたから、匂いが移っちゃったのかな!?」

恥ずかしいやら、申し訳ないやらで挙動不審になってしまう。

「別に構わねぇ。それに、紫沫の匂い、好きだ」

そのストレートな言葉と、私の事が好きだと言われているんだと勘違いしそうになる自分が恥ずかしくて、顔が火照っていくのがわかった。

「どうかしたか?赤くなってんぞ」

そう言って、おもむろに右手で頬を撫でられ、見つめてくる視線に私はそこから動けなくなってしまった。



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