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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


「っはぁ、はぁ…」

びっくりした、びっくりした、びっくりした!!
いきなり髪の毛に触れられたかと思えば、そのまま撫でられたような気がして、凄くドキドキしてしまった。
彼は親切心から、髪についたゴミをとってくれただけなのに…
あの場から逃げるようにして教室に戻ってきた私は、鳴り止まない鼓動を落ち着かせるべく何度も深呼吸を繰り返す。
すると、そこへ幼馴染がやってきた。

「紫沫大丈夫?てか、1人?」
「あ、えと、逃げて来ちゃった…」
「は?え、なんで?」

わたしが口を開きかけた瞬間、彼が席に戻って来たのが見えた。
同じくそれに気づいた幼馴染は何かを察してくれたようでそれ以上詮索することはせず、チャイムが鳴ったことにより自分の席へと戻っていった。
チラリと横を見ればいつもの無表情の彼がいて、何を考えているのかはわからないが、さっきのことを特に気にした様子はないようで安心する。
すぐに先生が教室に来たので視線を黒板へと向けた。

(そういえば、あの時の轟君なんかいつもと違う気がしたな)

今まで私が見つめていた彼は、いつも無表情であまり感情が表に出ない感じだった。
でも、お礼を述べていたあの時、一瞬だけ怖い顔をしていた…気がする。
気がするというのも、明らかな表情の変化があったとかではなく、なんとなくそんな感じがした程度だったから。

(何か変なこと言ったかな…?)

そうやってまた、頭の中は彼のことばかり考えてしまい、結局その日の授業内容は殆ど頭に残っていなかったことに気付いたのは放課後家に帰ってからだった。

『で?あの時何があったの?』

結局学校であの時のことを幼馴染が聞いてくることはなかったので油断していたら、家に着いた頃に電話が鳴った。

「あ、いや…あれは私の勘違いというかなんというか…」

うまく説明することが出来ずに、曖昧な答えしか返すことが出来ない。

『…お礼はちゃんと出来た?』
「うん!それはちゃんとできたよ!」
『まぁ、それなら良かった。このまま、明日からもどんどんせめていくだよ!』
「え?いや、今日のはたまたまというか、昨日の延長線というか…」
『また、そんなこと言って…昨日も言ったけど、このチャンス活かさなきゃ!』
「う、うん…なら、少しだけ、頑張ってみようかな…」


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