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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》


紫沫SIDE


「ここ数ヶ月の間、"個性"が暴走する事が無かったのを鑑みて、職場体験をさせる事にしたが、万が一の場合、お前の"個性"に対応出来るだけの場所がここだったってわけだ。向こうも受け入れ可だと連絡が来たしな」
「…わかりました」

そう返事をして、職員室を後にした。
返事はしたけど、納得出来たわけではない。
何より、エンデヴァーが受け入れてくれたと言うのはどう言うことなのか。
名前は知っている筈だから、私だとわかった上で受け入れてくれた?何故?
そういえば、以前会った時に"個性"の事を知っているような口ぶりだったのを思い出した。
けど、制御の出来ない"個性"は使えない。
わからない要素ばかりで結局私は考えるのをやめた。
こういう時に諦めが早いのは長所かもしれないと思う。
教室に戻るとそれぞれがどこに行こうかと話をしていた。

(そうだ。緑谷君に話したい事があったんだ)

朝から忙しなくてすっかり忘れていた。

「緑谷君!今話せるかな?」
「雪水さん?大丈夫だよ」
「あのね」

そう言いかけた所でチャイムが鳴ってしまう。
次の授業が始まってしまう為、また後でと言い席に戻る。
その次の休み時間、改めて緑谷君の席に行き、教室の中だと落ち着かないので廊下に出て話す事にした。

「いきなりごめんね?」
「ううん。僕に話したい事って?」
「えっとね、体育祭の時の事なんだけど…緑谷君にお礼が言いたくて」
「え?僕、雪水さんに何かしたかな?」
「ううん。私じゃなくて、轟君かな。緑谷君の言葉で轟君が変われて、そのお陰でまたお話しできるようになった。実は色々あって、轟君とは話せなくなってたから…直接は関係ないかもしれないけど、どうしてもお礼が言いたくて」
「そんな…僕はただ余計なお節介をしてしまっただけで」
「それでも、結果的に良い方へと進んだ。緑谷君との事がなかったらずっと轟君とは話せないままだった」
「…2人の間にどんな事があったのかはわからないけど、何か助けになれていたのなら良かったよ」
「うん!だから、ありがと。緑谷君!」
「どういたしまして…で合ってるかな?」
「うん!」

詳しくは話さなかったから、きっと緑谷君の中ではよくわからない事だったのに、深くは聞かず私の気持ちを受け止めてくれた事にも改めて心の中で感謝した。



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