第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》
紫沫SIDE
それからは、どんどん前に出て発表をしていた。
「イヤホン=ジャック」
「テンタコル」
「セロファン」
「テ…テイルマン」
「かぶったーーシュガーマン」
「ピンキー!!」
「チャージズマ!!」
「インビジブルガール!!」
「良いじゃん良いよ。さァどんどん行きましょー!!」
(マズイ…本当に何も思い浮かばない…)
いよいよ残り半分程になって、未だに真っ白なボードに焦りばかりが募って行く。
「この名に恥じぬ行いを。クリエティ」
「クリエイティヴ!!」
「焦凍(ショート)」
「名前!?」
と、ここで轟君が発表したヒーロー名に驚いた。
名前でもアリなの?と思ったけど、私がそのままなのは何か違う気がする。
「ツクヨミ」
「夜の神さま!」
今まで発表されたヒーロー名は"個性"に関係する物が多かった。
「グレープジュース!!」
「ポップ&キッチュ!!」
後は、自分の特徴を捉えたヒーロー名。
「(アニマ)」
「うん!!」
ここに来て、ある事が頭をよぎった。
〈なんだかこれ、私の"個性"みたい〉
〈俺もそう思ったからそれに決めた〉
そう言ってくれたのは、雪の結晶のチャームが付いたネックレス。
「爆殺王」
「そういうのはやめた方が良いわね」
「なんでだよ!!」
〈やっぱり似合うな〉
「じゃ、私も…考えてありました。ウラビティ」
「シャレてる!」
轟君が似合うって言ってくれた、雪の結晶。
「思ったよりずっとスムーズ!残ってるのは再考の爆豪くんと…飯田くん、紫沫ちゃん、そして緑谷くんね」
英語にすると…
「天哉」
「あなたも名前ね」
何だか私には綺麗すぎる様な気もするけど、他に何も浮かばない。
「デク」
「!?」
「えぇ緑谷、いいのかそれェ!?」
「うん。今まで好きじゃなかった。けど、ある人に"意味"を変えられて…僕はけっこうな衝撃で…嬉しかったんだ。これが僕のヒーロー名です」
「後は紫沫ちゃんがまだだけど、出来たかしら?」
「はい」
少し緊張しながら教壇へと向かった。
「スノークリスタル。私もある人に私の"個性"みたいって、似合うって言われて、これしか思い浮かびませんでした」
本人を目の前にして言うのはとても恥ずかしかったけど、本当の事だから。
流石に轟君の顔を見る事は出来なかった。
.