第5章 原作編《ヒーロー情報学〜ヒーロー基礎学》
紫沫SIDE
「だーー白黒ついた!」
「見る目ないよね、プロ」
「1位2位逆転してんじゃん」
「表彰台で拘束された奴とかビビるもんな…」
「ビビってんじゃねーよ、プロが!!」
「さすがですわ、轟さん」
「やっぱり轟君は何処にいても人気者だね?」
「ほとんど親の話題ありきだろ…」
「…あら?」
「ん?八百万さんどうかした?」
「あ、いえ、雪水さんが轟さんに声を掛けている所をあまり見ない様な気がしまして…クラスメイトですのに、そんな筈ないですわよね」
「そ、そうだね。そんな事ないよ、多分…」
本当は入学してから、会話なんてほぼしていない。
きっと今までの私なら口を挟む事なんてしなかった。
けど、やっと前みたいに話せる様になった事が嬉しくて進んで話しかけてしまう。
いきなりそうなったら違和感があるよね…少し自重しなくてはと思っていると、相澤先生の声が聞こえて前に視線を戻した。
「これを踏まえ…指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
「!!」
「おまえらは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験して、より実りのある訓練をしようってこった」
「それでヒーロー名か!」
「俄然楽しみになってきたァ!」
(体育祭には出場してなかったし、そもそもヒーローを目指してここにいるわけではない私はどうしたらいいんだろう?授業だから、一応決めた方がいいのかな…)
「まァ仮ではあるが、適当なもんは…」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」
途中から聞き慣れた声がして、そちらに視線を向けると、扉から睡さんが入ってくるのが見えた。
「この時の名が!世に認知され、そのままプロ名になってる人多いからね!」
「ミッドナイト!!」
「まァ、そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。将来、自分がどうなるのか。名を付けることでイメージが固まり、そこに近付いていく。それが「名は体を表す」ってことだ。"オールマイト"とかな」
睡さんに視線を向けているとこちらに気付いたみたいで、軽く片目で目配せされた。
(これは、私も決めないといけないって事だよね…)
ヒーローになった時の名前なんて、今の私にとっては妄想の様なモノだけど…それでも、変な名前にはしたくないななんて思っていた。
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