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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


「…私が家に着いた時には、お父さんとお母さんが床に倒れてて、知らない人影がベランダに立ってた…信じられなくて、怖くて、気付いたら"個性"を使ってた。でも、それは今までとは比べ物にならない位強い"個性"で、辺り一面が吹雪になってて、暴走してた…」

話出せれば案外スラスラと言葉が出てきて、轟君は何も言わずに聞いてくれていた。

「それで、その人影は気付いたらいなくて、私はそのまま気を失ってた。目が覚めたら病院にいて、"個性"検査をしたんだけど、やっぱりあの吹雪が発動して、自分では制御が出来なくなってた。その時は相澤先生が立ち会ってくれてて、止めてくれたんだけど…このままだと駄目だからって、"個性"の制御の練習をする為に雄英に入学する事になったんだよ」
「…両親はどうしたんだ?」
「…もう、いない……っ」

改めて自分の口に出すと悲しさが胸を締め付けてまた泣いてしまった。
何だか最近泣いてばかりいる気がする。

「そうか…辛ェ事聞いて悪かった…そんな時に傍にいてやれなくて、悪かった…」

そう言って、再び轟君は私を抱き締めた。
さっきよりも腕の力が強い気がしたけど、今の私には全然気にならなくて。
寧ろ人の温もりを感じられる事で心が落ち着いていくのがわかる。

「USJん時に様子がおかしかったのはその時のせいか?」
「気付いて、たの…?」
「ああ。だから咄嗟に抱き締めちまってた」
「そう、だったんだ…」
「もう絶対ェ離れねぇ。何があっても俺が傍にいる」
「っありが、とう…」

まだ涙は溢れていたけど。
その言葉が私をどれだけ安心させてくれるかなんてきっとわかってないんだろうな。
あの日から、こんな風に傍にいてくれる人はもういないと思ってた。
私は独りなんだと思ってた。

「だから、紫沫、もう泣くな」
「…っ」

ああ、やっぱり轟君は私の涙を止めようとしてくれるんだね。
あの頃と同じ。
あの時欲しくてたまらなかった言葉に、涙は更に溢れてしまったけど。
もうこれで最後にするから。
もう泣かないから。
今だけはもう少し、このまま泣かせてと。
心の中でそっと呟いた。


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