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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


「何度も俺に言ってくれてたよな。俺の"個性"が好きだって。その意味をちゃんと考えてなかった。何度もキッカケをくれてたってのに気付かなかった」

まさかその言葉の事だとは思わず驚いた。
確かに、轟君の"個性"が好きとは言ったけど。
そこに深い意味はなくて。
ただ、単純に好きだっただけなのに。
それをキッカケなんて言われるとは思わなかった。

「違うよ…好きなのは本当だけど、それは私の気持ちであって、意味なんてそんな」
「俺はずっと、"親"の"個性"だと思ってた。けど、紫沫は出逢った時からずっと"俺"の"個性"だと言葉にしてくれてたろ」

そう言われて、やっと理解した。
私には当然だと思っていた事がそうじゃなかったんだ。
そして、何度も口にした言葉が今やっと轟君に届いた気がして少し嬉しくなっていた。

「…そうだね。私の中ではずっと、氷も炎も、轟君の"個性"で、私はそれが好きだよ」
「ああ、ありがとな」

ほんの少しだけ、轟君が微笑んだように見えたのはきっと勘違いじゃないはず。
それは、誕生日の時に見せてくれた顔とよく似ていたから。

「それと、もう一つ。覚えてねぇだろうが…USJで倒れた時に言われた言葉がある」
「え?」

それこそ身に覚えがなかった。
意識を失っていたのに一体何を言ったと言うのだろうか。

「…俺が離れたこと、今もまだ気にしてんのか?」

その言葉に今日一番の衝撃を受けた。
あの時の自分が何を言ったのかはわからないけど、きっと離れたことに対する言葉だったんだろう。
よく考えれば、今こうして隣に座って話せてる事が本来ならあり得なかった事を思い出して。

「ごめん…どうしても、轟君の事、忘れられなくて…」

そう口にした途端に轟君の事を想う感情が溢れ出てしまった。
駄目だと思いながら、涙が零れ落ちるのを止められない。

「すまねぇ…ずっと苦しめちまって…」

そう言って轟君は私を抱き締めてくれて、言葉を続ける。

「だから、紫沫とも話さなきゃならねェと思った…あの時の俺は何も見えちゃいなかったから。離れる事しか選択肢がねぇって…紫沫がどうしてェのか聞くべきだった。今更かもしれないが…教えてくんねェか?」
「私は…また、轟君とお喋り出来るようになりたい…離れて欲しくない…」


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