第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
「それではこれより!!表彰式に移ります!」
轟君と爆豪君が目を覚ました事により表彰式を始めるからと皆の元へ戻ってきて競技場へと移動すると。
主審の睡さんの開始の合図と共に派手な演出で表彰台が姿を現わした。
「何アレ…」
「起きてからずっと暴れてんだと。しっかしまー…締まねー1位だな」
「もはや悪鬼羅刹」
「ん゛〜!!」
そこには目を覚まして暴れ出したところを先生達によって無理矢理拘束された爆豪君を始め、轟君と常闇君が立っていた。
「3位には常闇くんともう1人、飯田くんがいるんだけど、ちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承下さいな」
「飯田ちゃん、ハリキってたのに残念ね」
「メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」
「私がメダルを持って来「我らがヒーローオールマイトォ!!」
カッコよく登場かと思いきや見事に台詞が被ってしまい、何だかこちらも締まらないなと少し笑ってしまった。
しかし、すぐに気を取り直してメダルの授与が始まる。
「常闇少年おめでとう!強いな君は」
「もったいないお言葉」
「ただ!相性差を覆すには"個性"に頼りっきりじゃだめだ。もっと地力を鍛えれば、取れる択が増すだろう」
「…御意」
続いて、轟君の元へ向かうオールマイト。
「轟少年、おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのにはワケがあるのかな」
「緑谷戦でキッカケをもらって…わからなくなってしまいました。あなたが奴を気にかけるのも少しわかった気がします。俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノがまだある」
「…顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる」
その姿を見つめていると一瞬轟君と目が合った気がしたけど。
すぐにオールマイトにハグされた事で轟君の姿がこちらには見えなくなってしまった。
そういえば、爆豪君が目覚める直前に何か言いかけていた様だった。
結局あの後は話をする間もなく今に至る。
ずっと近付かないようにしていたのに、自然に話せていた事に今更気付いて。
このまま前みたいにお喋りできるようになれたらなんて少し期待している自分がいた。
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