• テキストサイズ

【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


(これからは、左も使うようになるのかな…そうなれば嬉しいな…)

あの光景が瞼の裏に焼き付いて離れない。
また零れ出しそうになる涙をグッと堪えて、心を落ち着かせる為深呼吸をしていると、競技場からプレゼントマイクの実況の声が微かに聞こえていたのに気付く。

《爆豪エゲツない絨毯爆撃で三回戦進出!!これでベスト4か出揃った!!》

二回戦はいつの間にか殆ど終わっていた。

《準決!サクサク行くぜ。お互い、ヒーロー家出身のエリート対決だ!飯田天哉対轟焦凍!!START!》

轟君の試合が始まったというのに、私はまだその場から動けずにいた。
もし、今またあの光景を見てしまったら泣いてしまう気がしたから。

《飯田行動不能!轟、炎を見せずに決勝戦進出だ!》
(炎、使わなかったんだ…)

暫く実況を聴きながら心を落ち着かせていた私は、決勝戦はこの目で見たいと思い、漸く競技場へと足を進めた。
観客席の近くまで来たところで、爆豪君と常闇君の試合の決着がつく。

「常闇くん降参!爆豪くんの勝利!!」
《よって決勝は、轟対爆豪に決定だあ!!!》
(決勝戦は、轟君と爆豪君か…)

そうなると思っていたのか、さっきの衝撃が強過ぎたせいか、その結果にさほど驚くことはなかった。
さっきの試合を見ていなかったから轟君があの後どうしているのかはわからないけど、左の炎を使ってない事は実況で言っていたので知っている。

(やっぱり、全てが吹っ切れた訳じゃないよね…)

そう思いながら、元いた観客席に着くと、直ぐに八百万さん達が暖かく迎え入れてくれた。
このクラスの皆は本当に優しくて救われてばかりだなって思う。

「雪水さん、お帰りなさいませ。決勝戦に間に合ってよかったですわ」
「お帰り。もう大丈夫?」
「ただいま。さっきは本当にありがとう。もう大丈夫!」

そう答えたところで決勝の2人がステージに現れた姿が目に入る。
いよいよ、この体育祭で最後の試合となる、決勝戦が始まろうとしていた。



.
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp